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役員給与を減額した場合 給料と退職金などによる節税


【目次】

1.役員給与減額の要件

会社は業績がいいときもあれば、悪くなるときもあります。商品の売れ行きが鈍り、在庫を抱えて資金繰りが悪化したことから、全役員の給与を10%減額することにしたら、定期同額給与になるのでしょうか。

定期同額給与とされる要件の1つに、「会社の経営状況が著しく悪化したことを理由に給与の支給額を減らした場合、その事業年度内において改定前、改定後とも、それぞれの支給時期における額が同額であること」ということがあります。

国税庁の通達によりますと、「経営の著しい悪化」とは、会社の清算に入る寸前か、入っているというような、末期的な経営状況にあることをいいます。

資金繰りが悪化するということは、経営者にとつては深刻な経営状況ですが、定期同額給与の減額要件にはあたらないとされます。

もちろん、売上げ不振という程度では、経営の著しい悪化ということはできません。

したがって、資金繰りが悪化したので役員給与を減額したというときは、定期同額給与とならないので、損金に算入することはできません。

2.減額前との差額分が損金にできない

事業年度の途中で役員給与を減額すると、定期同額給与とならないので、全額が損金扱い
できなくなるわけではありません。

減額前の給与の支給額が同じで、減額後も同額である場合は、減額後の給与の支給額が本来の給与とされます。

たとえば、減額前は100万円だったのが、減額後は50万円になったとすると、50万円が本来の定期同額給与とされ、 100万円と50万円の差額である50万円が損金不算入となります。

役員給与を減額すると、税務上は所得が多くなるか、損失額が少なくなります。

役員給与を減らして会社の所得が多くなると、法人税がそれだけ増えることになります。赤字決算の場合には、青色申告の欠損控除額が少なくなるだけです。

法人税を考えると、けっして節税にはつながりません。

いま我慢すれば会社は持ちこたえることができるのであれば、役員給与の減額はしないほうがいいでしょう。

3.減給処分の場合は全額損金算入

事業の業績悪化を理由とした役員給与の減額については、厳しい要件があります。

しかし、役員給与を減額する理由は、業績の悪化だけではありません。

同族会社であっても、いまやコンプライアンス(法令遵守)は、経営を行ううえで最優先されなければならなくなっています。

ところが、何らかの事情によってコンプライアンスに抵触して、会社が行政処分されることがあります。例えばインサイダー取引を行い会社が行政処分される場合などが該当します。

このときに、社長や直接の担当役員が期間を区切って減給処分を受けることがあります。

会社が不祥事などを起こしたとき、役員の責任を問うことは、企業慣行としてごく一般的に行われていることです。

役員が責任をとるときに、いったん給与を全額受け取り、その後、給与の一部を会社に返還すると、給与の減額がありませんから、定期同額給与となります。

それなのに、給与の返還を織り込んだ形の減給処分については、定期同額給与と取り扱わないことにすると、実態からかけ離れることになりかねません。

そこで、処分の内容が社会通念に照らし合わせて妥当であると認められる場合は、減額された期間においても、引き続き同額の定期給与の支給が行われているものとして取り扱うことができます。

つまり、定期同額給与とみなすことができます。

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