配当金は支払うべきか 同族会社の節税
【目次】
1.配当金を支払うべきか
一般的には、会社が利益を上げると、その中から配当金や役員賞与などを払い、残りは任意の積立金や次期繰越金として内部留保に回します。株主や経営陣に利益の一部を還元するわけです。
配当金や役員賞与は所得税の対象となるので、受け取った人に所得税が課税されます。
非上場の会社の場合、配当金からは20%が源泉徴収(地方税は源泉徴収されずに、総合課税となります)されます。
配当所得はほかの所得と合算される総合課税が原則ですから、総合課税にすると課税所得が多くなります。
なお、年間10万円までの少額配当金に関しては、源泉徴収だけで確定申告を行う必要はありません。
所得税は、所得が高くなるほど税率が高くなる超過累進税率で、最高税率は40%です。
これに地方税を含めると、税率は最大で50%にもなります。
ところが、法人税は25.5%で、資本金が1億円以下の会社ならば800万円以下の部分については15%に軽減されます。
法人住民税を加えても、実効税率になると最大で36.05%ほどです。
配当をすると、配当を受けたオーナー社長は配当金のなかから20%は無条件で源泉徴収されるのに加え、配当と給与所得を合算した金額から地方税が差し引かれることになります。
配当と給与所得を合わせて1800万円を超えると、税率は最高の40%になりますから、所得税の負担は大きくなります。
つまり、配当をするよりも、利益は内部留保に振り向けたほうが節税になります。
会社が小さなうちは、配当はできるだけしないで、内部留保に回して会社の資本を充実させたり、設備投資の資金にあてたりするほうが、会社の発展にとっても、節税のためにも、いいといえるでしょう。
2.過大な社内留保に留保金課税が課税されることも
同族会社のなかでも、 1人(グループ)が過半数の持ち分がある会社を「特定同族会社」と呼びます。
この特定同族会社で資本金が1億円超の会社については、留保金額が留保金控除額を超える場合には、留保金課税があります。留保金課税は、過大とされる留保金額について、一定の税率をかけて課税されます。
3.純資産が300万円未満だと配当はできない
会社をつくるときに親兄弟に出資してもらったので、それに報いるために安定的に配当したいというケースがあります。
利益が出ているときは問題ないのですが、会社は常に利益が出せるわけではありません。
ときには利益を出せない事業年度もあります
決算してみたら、利益が出ない、赤字だったということもあります。
そんなときでも配当できるのでしょうか。
上場会社は、その事業年度は赤字でも、安定配当といって、配当することがあります。
しかし、多くの同族会社は非上場会社です。非上場会社は、その事業年度が赤字か黒字かにかかわらず、純資産が300万円未満の場合は、配当をすることができません。
純資産が300万円以上で、配当の原資がある場合は、赤字の事業年度でも配当をすることができます。
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