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製造原価に算入する費用 売上と費用関係の節税


【目次】

1.製造原価と期間費用

法人によっては、工場で発生した費用のすべてを製造原価として処理しているケースもありますが、原価性のない費用は、当然に製造原価に含めるべきではありません。

また、これらの費用を期間費用として処理することにより税務上のメリットを享受することができます。

製造原価の計算に関連して、製造等のため又は製造等に付随して発生した費用が原価性を有するかどうか、その費用をいかなる範囲で製造原価に算入するかについては、税務上の定めはありません。

ただし、製造原価に算入しないことができる費用として、税務では次の項目が例示されています。

①使用人等に支給した賞与のうち、例えば創立何周年記念賞与などのように特別に支給される賞与であることが明らかなもの(通常の賞与として支給される部分の金額を除く。)

②試験研究費のうち、基礎研究及び応用研究の費用並びに工業化研究に該当することが明らかでないものの費用

③特別償却や陳腐化償却のような臨時的な一時償却による償却額

④売上高等に基づいて支払う工業所有権等の使用料や工業所有権等の頭金の償却額

⑤工業所有権等にっいて支払う使用料が生産数量等を基礎として定められおり、かつ、最低使用量の定めがある場合において支払われる使用料のうち、生産数量等により計算される使用料を超える部分の金額

⑥複写して販売するための原本となるソフトウエアの償却費

⑦事業税及び地方法人特別税

⑧事業の閉鎖、事業規模の縮小等のため大量に整理した使用人に対し支給する退職給与

⑨生産を相当期間にわたり休止した場合のその休止期間に対応する費用

⑩償却超過額その他税務計算上の否認額

⑪障害者の雇用の促進等に関する法律の規定による障害者雇用納付金

⑫工場等が支出した寄附金

⑬借入金の利子

これらの費用を原価に算入するかどうかは法人の自主判断に任されていますが、原価算入しないで早期に費用化した方が当然有利となり、結果節税することができます。

2.原価性の判断

製造原価の計算に関する税務上の定めはありません。

したがって、適正な原価計算基凖に従って製造原価が計算されていれば、税務上も認められることになります。

原価計算基凖では、原価の本質として、

①経済価値の消費であること
②経営において作り出された一定の給付に転嫁される価値であること
③経営目的に関連したものであること
④正常なものであること

の4つを挙げ、原価項目と非原価項目を区分しています。

非原価項目とは、原価に算入しない項目のことで、次のようなものがあります。

2-1.経営目的に関連しない価値の減少

  • 次の資産に関連する減価償却費、管理費、租税等の費用
    • 投資資産である不動産、有価証券、貸付金等
    • 未稼動の固定資産
    • 長期にわたり休止している設備
    • その他経営目的に関連しない資産
  • 寄付金等であって経営目的に関連しない支出
  • 支払利息、割引料等の財務費用
  • 有価証券の評価損及び売却損

2-2.常な状態を原因とする価値の減少

  • 異常な仕損、減損、棚卸減耗等
  • 火災、震災、風水害、盗難、争議等の偶発的事故による損失
  • 予期し得ない陳腐化等によって固定資産に著しい減価が生じた場合の臨時償却費
  • 延滞償金、違約金、罰課金、損害賠償金
  • 偶発債務損失
  • 訴訟費
  • 臨時多額の退職手当
  • 固定資産売却損及び除却損
  • 異常な貸倒損失

2-3.税法上、特に認められている損金算入項目

例えば、租税特別措置法による償却額のうち通常の償却範囲額を超える額など

2-4.その他の利益剰余金に課する項目

例えば、法人税、住民税、配当金など

通達の例示に限らず、上記のような費用も製造原価に算入しないで、期間費用として処理することができます。

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