増加償却の適用による節税 「資産」関係の節税
【目次】
機械及び装置について、実際の使用時間が平均的な使用時間を超える場合には、通常の償却のほか、その超える時間に相当する償却(増加償却)をすることができます。
1.機械装置の増加償却とは
機械及び装置の耐用年数は、通常の経済状況における各業種の平均的な使用時間を基凖として定められています。
そのため、実際の使用時間が平均的な使用時間を超える場合には、通常の償却のみでは不十分で、その超える時間、使った分に相当する償却をするのが実態に即しているといえます。
そこで機械装置の増加償却の制度が設けられていて、その要件は次の通りです。
- 旧定額法、旧定率法、定額法又は定率法を採用している機械装置であること
- 増加償却割合が10%以上であったこと
- 増加償却を適用する旨その他所定の書類を、適用しようとする事業年度の確定申告書の提出期限までに、税務署長に提出すること
- 平均的な使用時間を超えて使用したことを証する書類を保存していること
これらの要件が満たされたときは、次の金額が償却限度額となります。
償却限度額=普通償却限度額X (1+増加償却割合)
増加償却の適用単位は、法人の有する機械及び装置につき旧耐用年数省令に定める設備の種類(細目の定めのあるものは細目)工場に同一の種類に属する設備を有する場合は、工場ごとに適用することができます。
2.増加償却割合の計算
増加償却割合を計算するためには、「日々の超過使用時間」、「平均超過使用時間」、「機械及び装置の 1日当たりの超過使用時間」を計算する必要があります。
2-1.日々の超過使用時間の計算
個々の機械及び装置ごとに、日々の標準稼働時間を超えて使用した時間(超過使用時間)を計算します。
日々の超過使用時間=日々の実際使用時間一標準稼働時間
(注)日々の超過使用時間の1年分を個々の機械装置ごとに計算します。
2-2.平均超過使用時間の計算
個々の機械及び装置ごとに、次の算式により「平均超過使用時間」を計算します。
平均超過使用時間=個々の機械装置ごとの超過使用時間合計/通常使用されるべき日数
(注)通常使用されるべき日数とは、その事業年度の日数から日曜、祭日等その業界において通常休日とされている日数を控除した日数をいいます。週休5日制による日曜日以外の休日とする日は、通常使用されるべき日数に含まれます。
2-3.機械及び装置の1日当たりの超過使用時間の計算
次の2-3-1又は2-3-2のいずれかの方法により、その機械及び装置全体の1日当たりの超過使用時間を計算します。
2-3-1.その機械装置に属する個々の機械装置ごとに、次の算式により計算した時間を合計する方法
個々の機械装置の当期の平均超過使用時間×個々の機械装置の取得価額/その機械装置全体の取得価額
2-3-2.単純に平均する方法
個々の機械装置の当期の平均超過使用時間 ÷当期末の個々の機械装置の総数
2-4.増加償却割合の計算
次の算式により、その機械及び装置の増加償却割合を計算します。
増加償却割合 = その機械装置全体の超過使用時間数 × 35/1000
(注)小数点以下2位未満の端数が生じたときは、その端数を切り上げます。10%以上であるかどうかは、切り上げた後で判定することになります。
3.週5日制又は隔週5日制の場合
通常の使用時間は、その業種における週6日制の場合の機械装置の標凖稼働時間です。したがって、週5日制又は隔週5日制の場合には標準稼働時間を計算し直す必要があります。
3-1.週5日制の場合
(週6日制の通常の使用時間)+(週6日制の通常の使用時間÷ 5)
例えば、通常の使用時間が8時間である機械装置については、標凖稼働時間は次のように計算されます。
8時間+ 8時間÷ 5 =9.6時間
3-2.隔週5日制の場合
(週6日制の通常の使用時間)× 6 日× 2週÷(5日+ 6日)
例えば、通常の使用時間が8時間である機械装置については、標凖稼働時間は次のように計算されます。
8時間× 6 日× 2週÷(5日+ 6日)=8.72時間
なお、週5日制又は隔週5日制の場合には、週のうち休日とされている日(土曜、日曜、祭日)の稼働時間は、すべて超過使用時間となります。
4.休憩時間及び休止時間の取扱い
増加償却割合の計算の基礎となる超過使用時間には、通常の使用期間内の個々の機械及び装置の稼働状況は関係させないことになっています。したがって、通常の操業時間が午前9時から午後5時までの8時間で、途中に1時間の休憩時間があるため実働時間が7時間となっている場合でも、超過使用時間の計算に当たりその休憩時間は控除する必要がありません。休止時間についても同様です。
この場合の超過使用時間は、午後5時以降の使用時間を集計すればよいことになります。
なお、通常の使用時間以外の操業時間中の休憩又は休止の時間は、超過使用時間には含まれません。
5.耐用年数の短縮の適用を受けている場合
耐用年数の短縮の適用を受けている場合であっても、その機械装置の増加償却割合が10%以上であれば、増加償却が適用されます。
6.増加償却の適用のための手続
増加償却を適用しようとする法人は、その適用を受けようとする事業年度の確定申告書の提出期限までに、「増加償却の届出書」を所轄税務署長に提出する必要があります。
届出書には、増加償却割合の計算のほか、操業度上昇の理由、超過使用したことを証する書類として保存するものの名称等などを記載します。
【関連するこちらのページもどうぞ。】
- 減価償却の方法
- 増加償却の適用による節税
- 少額減価償却資産の購入による節税
- 耐用年数の短縮による節税
- 有姿除却の適用による節税
- 資本的支出と修繕費の形式基準の利用による節税
- 修繕費となる範囲内での修理・改良による節税
- 陳腐化償却の適用による節税
- 減価償却資産の取得に伴う租税公課等の処理による節税
- 20万円未満の減価償却資産の購入による節税
- 減価償却方法の変更
- 減価償却ができる資産とできない資産
Tag: 資産関係の節税
【業務に関するご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。】
03-6454-4223
電話受付時間 (日祝日は除く)
平日 9:00~21:00
info@suztax.com
24時間受付中