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耐用年数の短縮による節税 「資産」関係の節税


【目次】

税務上、減価償却資産については、法定耐用年数に基づいて償却するのが原則ですが、特別な事情によりその使用可能期間が法定耐用年数より10%以上短い場合には、耐用年数の短縮が認められます。

1.耐用年数の短縮とは

減価償却資産は、減価償却の手続により、その投下した資本を使用可能期間に応じて費用配分していくことになります。

この使用可能期間を耐用年数といい、税務では「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一から第六までにおいて具体的に定められています。これを法定耐用年数といい、税務上は、この年数に基づいて減価償却するのが原則です。

この法定耐用年数は、個々の資産の特殊条件にかかわりなく、一般的な効用持続年数により画一的に定められています。

そのため、その算定の前提となった一般的な条件と異なる特殊な事情が存在したり、あるいは特殊な事情が生じたために、その使用可能期間がその法定耐用年数に比して著しく短いと認められる場合には、国税局長の承認を受けた耐用年数で償却できることになってい
ます。

耐用年数の短縮が認められる特別な事情とは、次の通りです。

①その資産の材質又は製作方法がこれと種類及び構造を同じくする他の減価償却資産の通常の材質又は製作方法と著しく異なること
②その資産の存する地盤が隆起し又は沈下したこと
③その資産が陳腐化したこと
④その資産がその使用される場所の状況に基因して著しく腐食したこと
⑤その資産が通常の修理又は手入れをしなかったことに基因して著しく損耗したこと
⑥そのほか次に掲げる事由により、その資産の使用可能期間が法定耐用年数に比して著しく短いこと又は短いこととなったこと
i その資産の構成がその耐用年数(旧耐用年数省令に定める年数)を用いて償却限度額を計算すべき同一種類の他の減価償却資産の通常の構成と著しく異なること
ⅱその資産が機械及び装置であり、その資産の属する設備が旧耐用年数省令別表第二(機械及び装置の耐用年数表)に特掲されていない場合
ⅲその他①~⑤及び上記ⅰ、ⅱに準ずる事由があること

なお、耐用年数の短縮が認められることになる「その使用可能期間がその法定耐用年数に比して著しく短い」とは、その減価償却資産の使用可能期間が法定耐用年数に比しておおむね10%以上短い年数となったことをいいます。

2.耐用年数の短縮のための手続

耐用年数の短縮の承認を受けようとする場合は、「耐用年数の短縮の承認申請書」に必要書類を添付し、納税地の所轄税務署長を経由して所轄国税局長に提出する必要があります。

耐用年数短縮

耐用年数短縮算定書

この場合の添付書類は次の通りです。

1.「承認を受けようとする使用可能期間及び未経過使用可能期間の算定の明細書」 2部

2.申請資産の取得価額が確認できる資料(例:請求書等) 2部

3.個々の資産の内容及び使用可能期間が確認できる資料(例:見積書、仕様書等) 2部

4.申請資産の状況が明らかとなる資料(例:写真、カタログ、設計図等) 2部

5.申請資産がリース物件の場合、貸与を受けている者の用途等が確認できる書類(例:リース契約書の写し、納品書の写し) 2部

なお、この申請に係る耐用年数の短縮の規定については、所轄税務署長から書面による承認の通知があった日の属する事業年度から適用できます。

3.耐用年数の短縮事由を客観的に証明すること

耐用年数の短縮申請を行うに当たっては、対象となる減価償却資産について、申請の根拠となる事由の有無及びそれらの事実を、申請する法人が客観的に証明する必要があります。

したがって、過去の使用実績、技術者等の見解などを整理して用意しておく必要があります。

ところで、耐用年数の短縮の承認は、その承認にかかる個々の減価償却資産ごとに効果を有するものですので、その後にこれに変更を加え、又はこれと同一の材質若しくは製作方法による減価償却資産を取得したとしても、これらについてまで承認の効果が及ぶことはありません。

しかし、本特例の適用を受けた減価償却資産について軽微な変更があった場合、又はそれと同一の他の減価償却資産を取得した場合には、その事業年度の確定申告期限までに所定の届出書を所轄税務署長を経由して国税局長を提出すれば、自動的にこれらの申告期限においてその承認を受けたものとすることとされています。

なお、承認の事由が法人税法施行規則第16条第2号(旧耐用年数省令別表第二機械及び装置の耐用年数表に特掲されていない場合)に当たる場合は、新たな耐用年数を定めたものと同じですので、その後に取得する資産であっても承認を受けた年数を適用することができます。

4.短縮後の耐用年数が適用される時期

耐用年数の短縮が適用される時期は、承認申請書を提出した日ではなく、国税局長の承認があった日を含む事業年度からです。

承認の審査には相当の日数がかかることが通常ですので、申請した事業年度内に承認を得るためには、事業年度終了の日のおおむね3ケ月前までには申請書を提出しておいた方がよいようです。決算直前に申請したからといってすぐ認められるものではありませんので、ご注意ください。

5.耐用年数の短縮の対象となる資産の単位

耐用年数の短縮は、減価償却資産の種類(その種類につき構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分が定められているものについては、その構造若しくは用途、細目又は設備の種類の区分)ごとに、かつ、耐用年数の異なるものごとに適用することになります。

機械装置については、一括して償却計算を行うものであるため、旧耐用年数省令別表第二に定める設備の種類ごとに耐用年数の短縮が承認されます。

その一括して償却計算を行う機械装置について、耐用年数の短縮の原因となった部分が、更新されたり除却された場合には、軽微な変更とはいえず、短縮したもとの理由が存在しなくなったので、耐用年数の短縮の承認は当然取り消されることになりますので注意が必要です。

6.レンタル用建設機械について

一般の建設業者が機械を自己保有している場合、この機械は必要に応じて使用されています。これに対して、レンタル業者が保有するレンタル用機械は、多数の建設業者に使われることから、その使用頻度は高くなるのが当たり前です。また、レンタル用機械は、その貸付先において借り物であるという意識があるため、その取扱いがずさんになりがちなようです。

そのため、建設機械のうち軽機に属するもので、比較的短期の日又は月単位の賃貸で、オペレーターはつけず、機械の保守管理を賃貸先で行うものについては、耐用年数の短縮が認められています。

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