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減価償却資産の取得に伴う租税公課等の処理による節税 「資産」関係の節税


【目次】

減価償却資産の取得価額には、その取得に関連して支出するすべての費用を算入するのが原則ですが、租税公課等は取得価額に算入しないで費用として処理することができます。

1.減価償却資産の取得価額

減価償却資産の取得価額には、原則としてその購入代価等の取得の代価及び事業の用に供するために直接要した費用の額が含まれます。

減価償却資産を購入した場合には、その取得価額は次の①~③の合計額になります。

1.購入代価
2.引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他購入のために要した費用の額
3.事業の用に供するために直接要した費用の額

租税公課等についても固定資産の取得に関連して支出するものですから、本来はその取得価額に算入すべきものと考えられます。

しかし、
1.租税公課等はー種の事後費用であること、
2.その性格は流通税的なものであること、
3.第三者対抗要件を具備するための費用であることなどから、必ずしも固定資産の取得価額そのものとは考えられない側面もあります。

そこで次に掲げるような租税公課等の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができるものとされています。

1.不動産取得税又は自動車取得税
2.特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの(平成15年以降当面課税が停止されています。)
3.新増設に係る事業所税
4.登録免許税その他登記又は登録のために要する費用

これらの租税公課を取得価額に算入するか費用処理するかは、法人の判断に任されています。

2.自動車を取得した場合

自動車を購入すると、本体の購入代価のほかに次のような諸費用を支払うことになります。

①自動車取得税
②自動車重量税
③自動車税
④自賠責保険料伯動車損害賠償責任保険の保険料)
⑤検査登録費用
⑥車庫証明費用

このうち、②自動車重量税、③自動車税、④自賠責保険料については、自動車の取得に関連して支出するものではなく、自動車を所有することにより支出する事後的費用ですので、自動車の取得価額に算入する必要はありません。

また、①自動車取得税、⑤検査登録費用、⑥車庫証明費用については、自動車の取得に関連して支出するものですが、一種の事後的費用であることなどから、取得価額に算入するかどうかは、法人の判断に任されています。

3.土地建物を購入した場合

土地建物を購入すると、例えば、次のような諸費用がかかります。

①不動産鑑定士等に支払う鑑定料
(その土地建物の購入に当たり鑑定評価してもらうためのもの)
②不動産業者に支払う仲介手数料
③登録免許税
④司法書士に支払う登記手数料
⑤不動産取得税

このうち、③~⑤は士地建物の購入に伴って支出するものですが、③登録免許税と④司法書士に支払う登記手数料は、登記に要する費用であり、⑤不動産取得税と共に、種の事後的費用であることなどから、取得価額に算入するかどうかは、法人の判断に任されています。

しかし、①不動産鑑定士等に支払う鑑定料と②不動産業者に支払う仲介手数料は、購入のために直接要した費用であり、当然に取得価額に含めることになります。

4.未経過固定資産税の取扱い

土地建物を購入すると、その購入代金のほかに、未経過固定資産税の精算金(売主が支払った固定資産税のうち未経過期間に対応する部分の金額を売主に支払うことがよくあります。

この未経過固定資産税の精算金が、租税公課等に該当し、固定資産税として損金に算入できるのか、あるいは土地建物の取得価額に含めなければならないのかという点はよく論点となります。

この点について、消費税では、末経過固定資産税の精算金は土地建物の購入代金に含まれることとされています。

また、法人税法における未経過固定資産税の精算金の取扱いについては、明文の規定はありませんが、次の理由で取得価額に算入しないことができる租税公課等には該当しないものと考えられています。

①固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日現在において固定資産課税台帳に所有者として登録されているものであること
②本来の納税義務者は土地建物の譲渡人であり、譲受人は「固定資産税」として支払うのではなく、固定資産税相当額を支払っているに過ぎないものであること
③土地建物の売買に伴って支払うことが義務付けられているものであり、事後費用とはいえないこと

したがって、未経過固定資産税の精算金は、土地の取得価額に算入すべきであって、租税公課として損金に算入することはできません。

(未経過固定資産税等の取扱い)

10-1-6 固定資産税、自動車税等(以下10-1-6において「固定資産税等」という。)の課税の対象となる資産の譲渡に伴い、当該資産に対して課された固定資産税等について譲渡の時において未経過分がある場合で、その未経過分に相当する金額を当該資産の譲渡について収受する金額とは別に収受している場合であっても、当該未経過分に相当する金額は当該資産の譲渡の金額に含まれるのであるから留意する。

(注) 資産の譲渡を受けた者に対して課されるべき固定資産税等が、当該資産の名義変更をしなかったこと等により当該資産の譲渡をした事業者に対して課された場合において、当該事業者が当該譲渡を受けた者から当該固定資産税等に相当する金額を収受するときには、当該金額は資産の譲渡等の対価に該当しないのであるから留意する。

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