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会社設立には定款を作成し、公証人の認証を受ける


会社のルールを記載した書類を定款といい、会社設立時に作成しなければいけません。定款は公証人に認証してもらう必要があります。

目次

1.定款とはなにか

「定款」とは、会社の根本的な規則で、国家でいえば憲法に該当するものです。そのため、法人成りしたあと、自分たちで決めた規則である定款に沿って事業を行います。

定款に記載することには、

  • 「絶対的記載事項」
  • 「相対的記載事項」
  • 「任意的記載事項」

の3つがあります。


2.絶対的記載事項とは

定款の中に記載しなければ、定款そのものが全部無効になってしまうモノを「絶対的記載事項」といいます。

項目は、

  • 会社名
  • 会社の目的
  • 会社の住所
  • 資本金
  • 発行可能な株の総数
  • 発起人の名前と住所

の6つです。


2-1.会社名(商号)

まず、会社の名前を決めます。この会社名のことを「商号」ともいいます。

株式会社の場合、会社名の前か後に「株式会社」と入れなければなりません。「マエカブ」や「アトカブ」といわれます。

社名に迷ったときは、個人事業主時代に親しまれている「屋号」があれば、それを社名とする方が多いようです。

最近では、検索エンジンに引っかかりやすいような名前も人気があります。会計事務所では、「東京○○会計事務所」と付けると、「東京+会計事務所」で検索した場合、検索したときにヒットしやすいのではないでしょうか。

会社の商号として使える文字は、漢字、カタカナ、ひらがな、ローマ字、アラビア数字のほか、「&」「!」「,」「-」「・」「.」の6種類の符号と決められています。

そのほか、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社といった会社の種類を示す文字を、必ず商号の中で用いなくてはなりません。

これらの文字が、商号の前にくるか、後ろにくるかについては自由です。

ただし、(株)などの省略記号を使うことはできません。

会社の商号が決まったら、会社代表者の職印を、設立登記の申請に間にあうように注文しておきます。

会社法の改正により似た社名を排除する「類似商号」に関しては、同一住所で同一名称でなければいいと大幅に緩和されました。ちなみに、類似商号の調査は登記所で行うことができます。



2-2.会社の目的

法人の場合、「目的」に書かれていない事業を行うことができません。

そのため、会社で営業する内容を細大もらさず記載することが必要です。

会社を設立するときには行っていないことでも、将来事業として考えられる項目は記載しておくといいでしょう。

また、最後に「前各号に付帯する一切の事業」と入れることで、関連する事業をフォローすることが可能です。

定款の目的の表現に明確性を欠くとして、法務局から補正を命じられることも実際に多数ありますから、定款を作成する前に、管轄の法務局に相談しておくと安心です。


2-3.会社の住所

会社の住所(本店の所在地)も記載する義務があります。

個人事業の事業所所在地を引続き会社の住所とすれば問題ないでしょう。

しかし、その所在地が賃貸で、近々移転の計画がある場合には、たとえば、代表者の自宅を本店とすることも可能です。

会社設立後に本店を移転する場合には、その都度、本店を移転したことを伝えるための登記が必要になります。

本店所在地は、「当会社は、本店を東京都北区に置く」というように、最小行政区画である市区町村までの記載にとどめる方法と、「当会社は、本店を東京都北区赤羽××丁目××番××号に置く」というように、具体的な所在場所まで記載する方法とがあります。

最小行政区画地までの記載にとどめておけば、将来本店を移転する場合でも、その範囲内の移転ならば定款を変更する必要がないというメリットがあります。


2-4.資本金

最初に出資する額(資本金)も記載することが必要です。

金銭ではない、「現物出資」をする場合は、その財産の種類と財産の金額を記載しなければ認められません。

また、会社を作った後に資本金を増やすこと(増資)も可能です。この場合も変更したことを登記することが必要です。


2-5.発行可能株式総数

会社が当面何株まで発行できるかを決めます。

増資する場合、ここで記載した株数の中で行います。

中小企業の当面の資本金の目標は1,000万円、さらに長い年月をかけて2,000万円程度に増資できれば、より盤石な会社といえます。


2-6.発起人の名前と住所

発起人は、ご自身で大丈夫です。個人の印鑑証明書に記載されている氏名、住所を記載します。



3.相対的記載事項とは

定款に記載がなくても、定款そのものの効力には影響がありませんが、定款に定めなければ効力が生じない事項を「相対的記載事項」といいます。

現物出資や発起人の報酬、株式の譲渡制限に関する規定などがこれに当たります。なかでも、「株式の譲渡制限に関する規定」は重要です。これが有効な場合とそうでない場合とは、手続きの簡略化に差が出るからです。この規定は当事務所においては、原則記載をお願いしております。


3-1.株式の譲渡制限

相対的記載事項のうち、主なもののひとつが株式の譲渡制限に関する事項です。

将来、会社にとって望まない相手に株式が譲渡されないように、株式の全部またはある一定の種類の株式について譲渡制限をつけることができます。

また譲渡制限をつけた株式について、譲渡の承認をする機関についても、たとえば株主総会や代表取締役などと決めておきます。


3-2.株券の発行

会社法では、原則として株式の権利を表す株券は発行しないこととなっていますが、あえて権利を明確にするために株券を発行する場合には、定款に記載しておくことが必要です。


3-3.取締役の任期

取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終の定時株主総会までと決まっていますが、株式譲渡制限会社の場合には、定款に記載することによって、最長10年まで伸ばすことができます。


3-4.監査役の任期

監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終の定時株主総会までと決まっていますが、株式譲渡制限会社の場合には、定款に記載することによって、最長10年まで伸ばすことができます。


3-5.現物出資の場合

金銭以外の財産で出資することを、現物出資といいます。

現物出資が効力を生じるためには、定款に、「現物出資をする者の氏名・名称」および「出資の目的たる財産」と「その価額」および「これに対して与える株式
数」を記載しなければなりません。


4.任意的記載事項とは

定款に記載がなくても、定款そのものの効力に影響がなく、かつ定款に定めなくても効力が生じる事項を「任意的記載事項」といいます。

その中でも定款に載せてほしい内容は次の4つです。会社になくてはならないルールですから、かならず明確にしておく必要があります。

  • 会社の公告の掲載場所(官報や新聞など)
  • 取締役や監査役の設置や人数(最低1名の取締役から設立可能)
  • 取締役の任期(最高旧年まで設定可能)
  • 会社の事業年度(決算日をいつにするか)



5.発起人会を開く

発起人とは、株式会社の設立企画に参画した者のことをいい、定款の作成から会社設立のためのさまざまな事務を行います。

発起人は、1人でも複数でも、自然人でも法人でも誰でもなることができます。

ただし法人が発起人になる場合、その法人の事業目的の少なくともひとつと、設立しようとする法人の事業目的が一致していなければなりません。

発起人が複数いる場合、会社の商号や本店所在地、事業目的など、会社の基本的な事柄を決めて、「発起人会議事録」を作成します。

発起人会議事録は登記に必要な書類ではありませんが、定款で本店所在地を最小行政区画地までしか記載しない場合でも、発起人会議事録に地番まで記載しておけば、法務局に添付して申請書類として利用することもできます。

発起人が1人しかいない場合には、「発起人会決定書」を作成します。



6.公証人による認証

定款ができあがったら、登記の前に公証人に認証をしてもらう必要があります。

これは会社の定款という重要な文書が、真正かつ適法に作らていることを確保するためです。

公証役場は全国各地に設置されていますが、認証は会社の本店を置こうとする都道府県内の公証役場であればどこでも認証してもらえます。

認証に必要なモノは、

  • 定款3部
  • 発起人の印鑑証明
  • 発起人の実印
  • 収入印紙4万円
  • 認証手数料約5万円

です。

また、定款の登記簿謄本を交付してもらうための手数料(1枚250円)もかかります。

認証が終了した後から登記の手続きまでの問に、定款の不備が見つかった場合や、追加したい項目が出た場合であっても、変更するのは非常に困難です。

会社設立までに時間的な余裕がある場合、定款の認証を受ける前に、一度公証人に内容を確認してもらうといいでしょう。

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