トップ > 法人設立の教科書? > 株式会社の設立について > 会社設立時に決めておくこと

会社設立時に決めておくこと(発起人、本店所在地など)


会社を設立する場合、設立前に決めておかなければいけない事項があります。個人事業からの資産の引き継ぎも決めなければいけません。

目次

1.まず会社の骨格を決める

会社を作るまでの中心人物を「発起人」と呼びます。

発起人は、会社名(会社の種類を含む)、目的、本店の所在地、出資金(設立のときに発行する株式の数や今後発行可能な株式の数)、役員(取締役や監査役の数、取締役会や監査役会設置の有無、会計参与設置の有無)、事業年度(決算日)など、会社の骨格にかかわるすべての事項を決定しなければなりません。

一度決定し設立までこぎつけたら、これらの事項は変更がある度に、その変更登記を申請しなければならないものがほとんどですから、慎重に決定する必要があります。


2.個人から会社に引き継ぐ財産を決める

個人事業主時代に事業で利用していた固定資産や在庫などを会社に引き継ぐことができます。

引き継ぐ方法は2種類あります。

設立時に「現物出資」という方法で会社へ資産を移転する方法と、個人と会社の間で「売買」をして、設立後に資産を移転する方法です。


2-1.現物出資

まず、現物出資に関してですが、会社設立後の貸借対照表に記載できるモノであれば、すべてその対象とすることができます。

ただし、その引き継ぐ金額は原則「時価」で引き継がなければなりません。

時価からかけ離れた高い金額を査定しますと、出資者に対して対価以上の株式を「贈与」したと認定されかねませんから注意が必要です。

会社設立後、無償で資産を譲り渡すという方法も考えられるますが、無償で渡してしまうと、その財産の時価相当額を会社に「贈与」したことになります。

会社設立後に思わぬ課税を受ける可能性があります。


2-2.財産を売買

2つめは、会社を設立した直後に財産を「売買」する方法です。

この場合の注意点も、「時価」で取引することです。

ところで、売買するときに注意することがあります。

それは、消費税です。

売却する側の個人事業主が消費税の「課税事業者」である場合には、これも日常の売上と同じく、消費税の課税取引に該当するからです。

個人事業の最後の確定申告時に消費税の納付が増えるケースもありますので注意しましょう


3.会社に引き継げない財産もある

個人事業主時代に使っていた財産の中には、会社に引き継げない財産があります。

たとえば、自宅兼事務所や自宅兼店舗として建設した建物などは、資産として認識できるものの、この建設費用に対して金融機関からの借入れを実行しているケースがほとんどだと思います。

銀行の担保となっている建物などは、会社へ「賃貸」する方法に切り替えるのが一般的です。

会社へ賃貸する場合、この賃料を個人で受け取るわけですから、「不動産収入」が新たに発生する場合が出てきます。

賃料を決めるときは、周辺の相場と、不動産収入を得るのに必要な支出(借入れの返済のための元本、利息、固定資産税、共益費など)を計算して決めるといいでしょう。

リース契約の物件に関しても注意が必要です。

リースは借りているモノですから、実際に個人が所有権を持っていません。

このように、第三者の権利が絡んでいる資産を会社へ引き継ぐことは困難です。この場合は、新たにリース会社と法人成りした後の会社で再契約を結ぶことになります。


4.監査役の権限とは

取締役会を設置した場合、必ず監査役(会)を置かなければなりません。

監査役の職務には「会計監査」と「業務監査」があり、会社が法令を遵守して適法に業務を遂行しているか、計算書類を適法に作成しているかを監査します。

また定款に定めることによって、監査役の権限を会計監査のみに限定することもできます。

取締役会がある会社では必ず設置しなければなりませんが、譲渡制限会社で取締役会を置かない場合でも、任意で監査役を置くこともできます。

また、監査役に代えて「会計参与」という機関を設置することも可能です。

会計参与とは、取締役と共同して決算書などの計算書類を作成することを、主な職務とする会社の機関のひとつです。

会計参与になるための資格は、公認会計士や監査法人・税理士・税理士法人など、会計の専門家に限定されています。


5.小規模企業共済の取り扱い

個人事業主時代に節税や老後資金の貯蓄のために加入した「小規模企業共済」の契約は、一定の要件を満たせば、法人成り後も引続き維持することができます。

一定の要件とは、
①個人事業の廃業で、共済の解約理由はできるが、その共済金を請求しないこと
②個人事業の廃業後1年以内に法人成りがあった旨を申し出ること
③法人成りした後も小規模企業共済に加入できる資格を有していること
の3つすべてを満たすケースです。

この継続のことを、「掛金納付月数の通算」といいます。

また、個人事業主時代に節税や取引先の倒産などに備えて加入した「経営セーフティ共済の契約も、一定の要件を満たせば、引続き維持することができます。

一定の要件とは、
①法人成りがあってから、3カ月以内に届け出ること
②法人成り後も中小企業者であること
③法人成り後も引続き加入要件を満たしていること
④個人事業主時代に貸し付けられた貸金などの弁済を行うこと

の4つすべてを満たすケースです。

この継続のことを、「共済契約の承継」といいます。


6.許認可が必要な事業か確認する

会社が営む事業は、発起人が定款に定めることによって自由に決めることができますが、事業の種類によっては、国や都道府県などの行政官庁の許認可を得なければ営業できないものもあります。

認可のためには一定の要件がある場合もあるので、設立前に関係行政官庁と打ちあわせをしたり、行政書士などの専門家に相談しておきましょう。


7.助成金が使えないか確認する

国民生活金融公庫や民間の銀行からの借入と違い、助成金は、受給したお金を返済する必要がないというメリットがあります。

一方、申請条件や申請のための必要書類は、かなり複雑で膨大な書類ですが、提出しても、必ずしも申請がパスするわけではありません。

しかし、助成金の中には、起業をサポートすることを目的とするものもあるので、設立前に検討しておくことは非常に大切です。助成金の申請は、社会保険労務士に前もって相談しておきましょう。


8.発起人個人の印鑑証明を用意する

公証人役場で定款の認証を受ける際、発起人全員の個人の印鑑証明書が1通ずつ必要になるので準備しておきます。

会社が発起人になる場合には、その会社の登記簿謄本と会社の印鑑証明書がそれぞれ1通ずつ必要です。

また、設立時の取締役になる予定者についても、法務局に提出しなければならないので、各1通ずつ取り寄せておきます。

発起人と取締役両方になる人は、結局印鑑証明が2通必要なことになります。


9.会社の代表印を用意する

会社名が決まれば、会社としてのハンコを用意する必要があります。

会社名と役職名を印字しますので、「株式会社○○○○代表取締役印」と彫られているものを手配してください。

このハンコのことを「代表印」や「実印」といいます。

作成した代表印は、銀行印としても使用することができますので、その保管をきちんとできる方は、別に銀行印を作成しなくても大丈夫です。

また、この作成した代表印は、会社の登記申請とともに、法務局で「印鑑登録」します。

銀行からの借入れや重要契約の添付書類として法人の印鑑証明書を発行させられますから、大切なモノだとこの時点から認識しておいてください。

【業務に関するご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。】

03-6454-4223
電話受付時間 (日祝日は除く)
平日 9:00~21:00
土曜日9:00~18:30

info@suztax.com
24時間受付中