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公開会社と譲渡制限会社の違いについて


最初に会社をつくるときは、譲渡制限会社にしておいて、代表取締役が承認しないと株式の譲渡ができないようにしておくのが一番安全で妥当な設計です。

目次

1.譲渡制限会社とは

会社法では、資本金5億円以上、または負債総額200億円以上の会社を大会社と呼び、それ以外の会社を中小会社と呼んで区別します。

しかし会社の規模に関係なく、会社の類型は、まず「株式譲渡制限会社」か、それ以外の会社かに分類されます。

株式譲渡制限会社とは、株式を第三者に譲渡する場合、すべての株式について、株主総会などの承認を得なければならないといった制限を設けている会社のことをいいます。

承認を行う機関については、株主総会にかぎらず、取締役会や代表取締役など、定款で自由に決めることができます。

未上場の中小企業では、株式がいつのまにかまったく見ず知らずの他人に譲渡されたり、または大きな資本に乗っ取られるのを防ぐために、株式に譲渡制限をつけておくのが一般的となっています。


2.種類株式とは

株主の権利には、大きく分けて、

  • 議決権
  • 利益の分配を受ける権利
  • 解散時に残余財産の分配を受ける権利

の3つがあります。

これら株主の権利は、原則的には平等でなければなりません(株主平等の原則)が、株式会社は、定款に定めることで、普通株式以外にも特別な種類の株式を自由に発行することができます。

たとえば、議決権はないが配当を優先的に受けることのできる「配当優先株」や、拒否権付株式(いわゆる黄金株)、またはある一定の条件を満たした場合、会社が買い取ることのできる株式など、2種類以上の異なる性質の株式を発行することができることになっています。

このように、さまざまな種類の株式を発行することで、個々の株式会社の実態に応じた会社の運営をすることができるだけでなく、投資家から出資を集めやすくするというメリットがあります。また、種類株式を利用して、事業承継をスムーズに進めることも可能です。

参考:種類株式とは
種類株式とは、株式会社が内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合、その異なる種類の株式のことを指します。新会社法においては、

  • 譲渡制限
  • 取得請求権
  • 取得条項
  • 全部取得条項
  • 拒否権が、内容に差異を設けることのできる事項として、種類株式の規定の中に整理されました。

種類株式を発行する場合、その内容に関わる事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めておく必要があります。

ただし、その内容に関わる事項については、法務省令で定めるものに限り、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会や取締役会等の決議によって定める旨を定款で定めることができます。また、定款を変更して発行可能種類株式総数を減少させる場合、又は他の種類の株式への転換が予定される種類株式を発行する場合は、それぞれ発行数に関する制限が課されます。

なお、種類株式に関する定款の変更が、ある種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該種類株式の株主で構成される種類株主総会の決議を経なければ、定款の変更は効力を生じません。

種類株式の発行は、原則として、公開会社においては取締役会が、その他の株式会社においては株主総会が、それぞれ決議により決定します。

その後の引受けや払込み、株主となる時期等については、普通株式の場合と同様です。



3.黄金株とは

拒否権付株式を1株でも発行していると、その株主は、株主総会で可決された、あらゆる議案を否認することができます。

これは事業承継をして、会社の運営と過半数の株式を後継者に譲ったものの経営について監視していきたいような場合、創業者が1株だけこの拒否権付株式を持っているなどの利用のしかたが考えられます。

しかしこの拒否権付株式に、譲渡制限がついていないと大変なことになってしまいます。そこで、定款に記載することで、すべての種類の株式について譲渡制限を設けたり、ある特定の種類の株式についてのみ譲渡制限を設けることも可能となっています。


4.公開会社とは

株式譲渡制限会社とは、発行するすべての株式について譲渡制限がついている会社のことです。

ある種類株式についてだけ譲渡制限がついている場合は、譲渡制限会社とはいいません。

では、譲渡制限会社ではない会社のことをなんと呼ぶのかというと、「公開会社」といいます。

公開会社とは、株式を上場している会社という意味ではなく、発行する株式に譲渡制限のついていない会社という意味で使われます。上場会社は、株式を証券市場に公開していることから、公開会社と呼ばれることもありますが、会社法が制定されて以来、公開会社の定義は異なっています。

もちろん、株式を上場している場合、譲渡制限をつけることはできませんから、すべての上場会社は公開会社となります。

そこで、公開会社の場合、発行する株式がマーケットで流通することを想定して、さまざまな約束ごとが設けられています。

たとえば、公開会社は必ず取締役会や監査役(会)を設置しなければなりません。これは、いわゆるコーポレート・ガバナンスをきちんと整備して、法令遵守の会社経営をするために必要なことです。また、決算書を作成して公表するにも、一般投資家に向けて細かな「注記」を記載して、財務諸表の数字の根拠を明確にしなければならないとされています。

これらは、すべて不特定多数の投資家から、広く出資を集めることを想定して決められたものなので、小規模な未上場の会社では公開会社にする必要はありません。

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