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会社を作ると、社会保険・労働保険の手続きが面倒


目次

1.会社を作ると、社会保険・労働保険の手続きが面倒

すべての会社は、社会保険への加入を義務づけられているので、会社を設立したら、速やかに所轄の社会保険事務所で加入手続きを行います。

国が運営する医療保険のことを「健康保険」といいます。加入者本人や家族が病気やケガをして病院で治療を受ける際、通常、国が治療費の7割を負担してくれる制度です。また、従業員の年齢が40歳になると、「介護保険」の適用がはじまります。これは将来、介護が必要となった場合に、介護の度合いに応じて、費用の9割を国が負担してくれる制度です。

一方、国が運営する年金保険のことを「厚生年金保険」といいます。退職後に、老後の生活費として一定額の年金が支給される制度です。


2.会社は保険料の半分を負担する

健康保険と厚生年金保険の保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担します。

保険料の金額は、従業員の給料や通勤交通費の合計額によって決まります。会社は、従業員が負担する保険料を給料から天引きし、会社負担分とあわせて毎月月末までに国に納めなければなりません。

従業員の年齢が40歳以上の場合には、介護保険料についても、会社が半分を負担します。

たとえば、従業員(40歳未満)に支払う給料が25万円だと、政府管掌の社会保険に加入した場合、会社の負担額は2万8,260円となり、従業員負担分とあわせて5万6,520円を国に支払うことになります。加入者が3人いると、合計16万9,560円になります。半分は給料から天引きしているとはいえ、その負担感は相当なものがあります。

社会保険の手続きは加入時だけではなく、毎年1回、7月に「算定手続き」を行います。算定手続きとは、個々の従業員の4~6月の3カ月間の給料の平均額を計算し、新しい保険料徴収額を社会保険事務所に届ける手続きになります。

そのほかにも、従業員の給料が大きく増減した場合や賞与を支給したときにも社会保険事務所に届け出ます。これらの手続きは大変面倒で、通常、社会保険労務士に依頼しますが、当然その費用も会社負担になります。


3.個人事業の場合、従業員が5人まで任意

個人事業の場合には、従業員が5人未満までは、社会保険への加入は任意とされています。

任意といっても、従業員の2分の1以上の同意がなければ、社会保険に加入することができません。

事業所が社会保険に加入していないと従業員も加入できないので、その場合、従業員は各人で国民健康保険と国民年金に加入することになります。

国民健康保険と国民年金については、事業主が保険料の一部を負担する必要はありません。

その手続きについても加入者本人が自己の責任で行いますから、当然、事業主には一切の負担はかかってきません。ただし、従業員の数が5人以上の個人事業の場合には、社会保険は強制加入となっていますので、会社をつくった場合と同じになります。

具体的には、従業員の給料から従業員負担分の社会保険料と厚生年金保険料(従業員が40歳以上の場合には、介護保険料も)を天引きし、これに会社負担分を加えて、毎月月末に社会保険庁に支払います。社会保険料の料率や従業員と事業主との負担割合も、会社の場合と同じです。

社会保険に加入しなくていいのは、正社員に比べて、一般的に4分の3未満の労働時間であるパートタイマーくらいですから、社会保険に加入すると会社負担の保険料は突然膨れ上がるというわけです。


4.社会保険の手続きは面倒臭い

保険料負担という覚悟を決めて、いざ会社として社会保険に加入しようとすると、強制加入なのに面倒な手続きが山積みとなります。

手続きする先の年金事務所に提出する書類として「健康保険・厚生年金保険新規適用届」や「事業所現況届」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」など多数あり、添付書類も年金手帳や会社の登記簿謄本などたくさん必要となります。

社会保険は、従業員の就社・退社のたびに、年金事務所へ届け出をすることも必要となります。

保険料の決定や徴収に関しても、国民健康保険であれば、住まいのある市区町村が前年の所得に応じて保険料を計算し、納付書を送ってくるのを待っているだけでよかったのですが、社会保険になると従業員一人ひとりの給料を年1回報告し、給料額に応じた社会保険料の「等級」を加入者ごとに決定しなければなりません。

賞与を出しても届け出を行って保険料を納めなければいけません。

給料を上げても下げても、「給料が変わりました」という報告をしなければなりません。

これらの義務を怠ると大変です。

たとえば、賞与を支払ったという届け出をし忘れたら、従業員の厚生年金に賞与の金額が加算されなくなってしまいます。

賞与から保険料が引かれているのに年金定期便の自分の記録に入っていない!という事態になり、従業員に訴えられたら大変なことです。

後から届け出をして賞与の社会保険料をまとめて納付しなければなりません。

社会保険の料率もコロコロ変わるので、「いつも見ている料率表がいつの間にか古くなっていた」なんてこともよくあります。

しかも厚生年金の料率は、年々上がってきています。こうなると、従業員の給料から実際よりも安く保険料を引いていた、なんてことにもなりかねません。

会社はただでさえ従業員の社会保険料を半分負担しているのに、これでは大損です。とにかく、手続きが多くてわかりにくいのが、「社会保険」という制度なのです。


5.労働保険は個人でも法人でも強制加入

労働保険(労災保険と雇用保険)は、会社が従業員を1人以上雇えば、かならず加入しなければならない保険制度です。

これは会社に限らず個人事業主でも同じで、従業員のために、かならず入らなければなりません。法人成り後も引続き加入していたい場合、労災保険に関しては労働基準監督署に、雇用保険に関してはハローワークに、それぞれ名称を変更した旨を届け出なければなりません。

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