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法人成りするときは「個人+法人」で税金を考える


会社と個人の税金をあわせて、もっとも税率が低くなるように役員報酬を決めることが、確実に節税になります。

【目次】

1.法人成りするときは「個人+法人」で税金を考える

法人税と所得税では、もともと根拠としている法律そのものが法人税法と所得税法であり異なっているため、さまざまな相違点があります。

納税者にとってそのしくみを知ることも大切ですが、やはり納税額がいくらになるのかということが一番気になると思います。

そこで、ポイントになるのが税率テーブルです。

法人税の場合には、課税所得が800万円以下かどうかで、15%(中小法人にかぎる)と25.5%の2段階の税率に分かれています。

一方、所得税の場合、所得金額に応じて5%から40%の間で、6段階の税率が決められています。

会社をつくると、会社が利益を計上した場合法人税を支払うのは当然ですが、代表者に関していえば、法人税のほかに役員報酬にかかる所得税の両方を支払うことになります。

そこで、法人税と所得税の課税のしくみを理解すれば、全体として最も有利な税率が適用されるように役員報酬を設定することができ、効果的な節税をすることが可能となります。


2.法人税の計算方法

会社は毎年決算期末に決算書を作成し、「収入-経費=その年の利益金額」を計算します。

その後、決算書で算出した利益に対して、「法人税に特有の加算減算」を加えると「課税所得」となります。

この課税所得に一律25.5%の税率を掛けたものが、「納めるべき法人税」ということになります。

ただし、課税所得の金額が800万円以下の場合、税率15%(中小法人にかぎる)に軽減されています。


3.会社の地方税の計算方法

会社は、法人税のほかに「法人事業税」と「法人住民税」を支払う必要があります。

法人事業税は、会社の課税所得に応じて2.7%から5.3%の標準税率を掛けて算出します。

平成20年10月以降は、さらに法人事業税に81%を掛けて計算した地方法人特別税を納付します。

法人住民税としては、たとえば法人税に12.3%の標準税率を掛けて「市町村民税」を、5%の税率を掛けた「道府県民税」を計算します。東京23区の場合には、都民税5%と特別区分12.3%をあわせた17.3%を、東京都にのみ申告・納税すればよいこととなっています。


4.実効税率とは

このように会社にはさまざまな税金がかかってきますが、これらの税金をひっくるめて、「要するに、一体何%の税率が、かかっているの」かを、「実効税率」といいます。

会社にかかる法人税などの実効税率は、所得や規模に応じて25%から40%ぐらいと覚えておいてください。


5.役員報酬で調整する

事業の所得は、不動産所得・給与所得など、そのほかの所得とあわせて総合課税されます。

次にこれらの「総所得金額から、医療費控除や社会保険料控除などの控除額を差し引いて「課税所得」を算出します。

所得税は、この課税所得の金額に応じて5%から40%まで6段階の税率を適用して計算します。

所得税のように、課税所得によって税率の段階が変わることを、「超過累進税率」と呼びます。

超過累進税率を使用して課税されることを、「累進課税」といいます。

節税を考えるときは、「個人+会社=結局のところ合計で税金がいくらになるか」を計算しなくてはいけません。

会社をつくると、この所得税の累進課税という性質を利用して節税することが可能となります。

ちなみに「個人住民税」は所得に関係なく、所得に対して「一律10%」の税率を掛けて計算します(ただし、税負担調整控除あり)。

会社にすると、事業主も会社から役員報酬という給料を受け取ります。

その際の節税ポイントは以下のとおりです。さらに「給与所得控除」の分だけ、個人事業のときに払う所得税よりも確実に所得税が安くなります。

ポイント
所得税と住民税をあわせた税率を、法人税の実効税率以下になるように役員報酬の額を決める

会社の実行税率は一番低いもので25%程度ですから、役員報酬の額を、所得税と住民税をあわせた税率が25%以下になるように設定すれば、最も節税効果が高くなります。

「所得税の税率表」を確認してみるとわかりますが、給与所得が330万円以下の場合は、所得税率10%に住民税率10%を足して20%となっています。

そこで、課税所得が330万円になるように、逆算して役員報酬の金額を決めます。

もちろん、扶養家族の有無や社会保険料の金額によっても変わってきますが、給与所得控除と基礎控除だけを考慮して考えた場合、年収にして518万円までは、20%の税率に収まる計算になります。

仮に、役員報酬を支払う前の会社の利益が1,000万円の場合に、この1,000万円をすべて役員報酬で支払うと、役員に対する課税所得は742万円となり、33%の所得税と住民税が課税されます。

この場合には役員報酬を518万円にしておけば、会社と個人をあわせて最も低い税率を選択することになります。結果、個人事業よりも税金の額をぐっと抑えることができるわけです。

このように、法人では自分の計算次第で税金の額を減らすことができるのです。

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