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法人成りをすると車を全額経費として計上できる


個人事業主に使用していた車は、法人成りをすれば、全額を経費として計上することができます。

【目次】

1.個人事業主が経費に算入できる車両関係の費用

個人事業主の場合、経費を計算するときに、業務に関係のないプライベートなお金と、直接的な事業活動に関係する経費が混同して集計されてしまうため、、このうち何割かを「自己否認」という形でみずから経費に算入しないという手続きが必要となります。

たとえば、200万円で車を買ったとします。その車を事業用として50%使用し、プライベートでも50%程度使用するとします。この場合、半分の100万円は経費として認めてもらえますが、残りの50%は認められません。

このように、事業に使用する割合を算出する按分計算をすることが必要とされるわけです。


2.会社の場合の車両関係費用の経費の判断

一方、法人成りした場合は、事業用として必要なモノか、そうでないかという選択になります。

つまり、事業用として車が必要ならば、そのすべてを経費とすることができるのです。

なぜならば、会社が使用する車については、プライベートで使用することを想定していないからです。

たとえ、ほんの少しだけプライベートで使用したとしても、その部分を明確に分けること自体むずかしい話ですから、常識の範囲内であれば、全額経費として処理しても問題ありません。

もちろん、大きな資産ですので、一括で経費として認められることはありません。

減価償却費として、長期にわたって処理していくこととなります。

新車の場合、小型車は4年を、それ以外の車であれば6年をかけて費用化していきます。


3.耐用年数について

減価償却資産を必要経費に配分すべき期間は、資産の種類ごとに税法で定められています。

たとえば、乗用車の耐用年数は6年です。個人事業でも会社でも、耐用年数は同じなので、個人事業者と法人で異なるということはありません。


4.減価償却費の計算方法について

償却の期間中、毎年の減価償却費が同額になるように計算する方法を「定額法」といい、減価償却資産が一定の割合で減少していくように、資産の帳簿価額に一定の割合をかけて償却費を計算する方法を「定率法」といいます。

定額法に比べて定率法のほうが、初期に減価償却費を多く計上できるので、節税の観点からすると有利です。


5.減価償却方法は届ける必要がある

減価償却資産の償却方法は、その事業年度が開始するまで(個人の場合は、3月15日まで)に、所轄の税務署に届け出なければならないこととなっています。

また、この届け出をしなかった場合には、会社は自動的に定率法(建物以外)が、個人は定額法が適用されます。

節税という点では、最初から会社のほうが有利な扱いになっているわけですが、個人事業主があわてて償却方法の変更をしようとしても、いったん採用した償却方法は3年間変更することができないので、事業を開始した段階でよく考えて償却方法を選択する必要があります。

ただし定率法で計算するためには、減価償却資産の帳簿残高に償却率を掛けて計算するので、損益計算書だけでなく、貸借対照表もきちんと作成しなければなりません。(定額法だからといって貸借対照表を作成しなくてもよいというわけではありません。)

個人事業主の場合には、貸借対照表を作成しなくても申告することは可能ですから、それだけ手間が増えます。

また、定率法を採用すると、大きな資産を購入した年度だけ、経費の額が大きくなり、その分経常利益が少なくなってしまうので、銀行対策や株主対策の一環として、決算書の格付けを上げるために、あえて定額法を選択するほうがよい会社もあり、節税の観点を優先するのかにより採用すべき償却方法が異なってきます。


6.会社の場合、減価償却を忘れても次の期で償却できる

個人事業が不利な扱いはほかにもあります。

会社の場合、ある年度で、うっかり償却費の計算を間違えて少なく計算してしまったり、会社独自の基準に基づいて、償却費を少なく計上して償却限度額いつぱいまでの償却をしなかったとしても、その分は翌年以降でも必要経費に算入できます。

しかし、個人の場合には、ある年度で必要経費に算入しなかった償却費は、それ以後の年度で、費用として計上することができません。

定率法を採用していて、2年目で減価償却をしなかった場合、どのような扱いになるかを検証してみます。

150万円の乗用車を購入したので、耐用年数は6年とします。

会社の場合には2年目の償却費を0円にしても問題ありません。

単純に3年目の期首簿価が87万円となり、3年目の償却限度額を365,400円として、償却費の計算をすることになります。

結果、この乗用車の償却が終わるのは7年目となって、費用化に時間がかかってしまいますが、最終的には1円を残して、全額を経費にすることができます。

では、個人事業の場合はというと、2年目で、減価償却しなかった365,400円は、その年度で償却されるべきものだったわけですから、会社のように、翌期に持ち越すことはできません。

3年目の期首簿価は504,600円となり、3年目の償却費は211,932円で計算することとなります。 個人事業の場合、減価償却を忘れたからといって、翌年に減価償却しなかった分を経費に計上することができないのです。

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