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福利厚生費(ふくりこうせいひ)


【目次】

従業員の福利厚生のために支出する費用で、法定福利費勘定でを設けない場合は、社会保険料や労働保険料の会社負担分もこの科目で処理します。

1.科目の内容

「福利厚生費」とは、従業員の健康、衛生、生活、慰安、冠婚葬祭など法定福利費として処理される項目以外(従業員の社会保険料や労働保険料の会社負担分など)の福利厚生のために支出する費用を表す勘定科目です。

社会保険や労働保険の会社負担分として「法定福利費」の勘定を設けない場合は、社会保険料や労働保険料の会社負担分も「福利厚生費」として処理します。

「福利厚生費」の勘定科目を用いる支出は、多様で広範囲にわたります。主なものには、次のようなものがあります。

  • 医療:医薬品、定期健康診断、予防注射、医務室関連費用など
  • 厚生施設:食堂用関連費用、社宅・寮費、運動場などの整備や維持費用など
  • 親睦活動:サークル活動の運営費、運動会などの費用、親睦や慰安旅行費用など
  • 慶弔:従業員の結婚祝い、従業員の香典、見舞金、永年勤続者表彰の費用など(取引先に対する香典などは交際費となりますので、注意してください。)
  • 消耗品:制服、お茶、石鹸、トイレットペーパーなど
  • 保険:従業員の生命保険、損害保険、所得補償保険など

2.仕訳例

福利厚生の費用を支出した場合は「福利厚生費」を借方に、取り消しや修正などの場合は貸方に記入します。「福利厚生費」は費用ですので、通常、借方に記入されます。

事務所に備付ける医薬品を購入した。
(借方)福利厚生費  1,000円/(貸方)現金  1,000円


3.福利厚生費の要件

内容要件
慰安旅行費用1.旅行期間が4泊5日以内(海外旅行の場合は、目的地の滞在日数による)
2.参加する従業員が全体の50%以上であること
永年勤続者表彰費用1.勤続期間等に照らして、社会通念上相当と認めれること
2.おおむね10年以上の勤続者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者はおおむね5年以上の間隔をおいて行われること
昼食代の補助1.食事代の50%以上を従業員が負担すること
2.会社負担は月額3,500円までとすること
残業代の食事補助社会通念上、妥当な食事を支給していること
人間ドックの費用1.全ての従業員または一定の年齢以上の者を対象とすること
2.健康管理上の必要から一般に実施されるものであること
3.費用が会社から医療機関に直接支払われるものであること
忘年会の費用1.従業員の慰安のために行われること
2.社会通念上、認められる程度の費用であること
3.全社員を対象としていること(事業所単位でも可)
社宅の電気代など1.金額が通常必要と認められる範囲内のものであること
2.各人ごとの使用部分に相当する金額が明らかでないこと


4.福利厚生費で処理しないもの

「法定福利費」以外の「福利厚生費」に関しては、会社が従業員のために支出した福利厚生関係の費用であっても、全てが「福利厚生費」として処理されるわけではありません。

一定の限度額を超過したものや、特定の従業員を対象としたものは、現物給与として、従業員個人の「給与手当」とされ所得税課税の問題が生じてくる可能性もあります。

従業員が参加している懇親会などでも、取引先などの接待を目的としたものは「交際費」としてみなされます。福利厚生費として処理していても他科目交際費として処理しなければいけませんので、注意してください。

5.税務上の留意点

所得税や交際費課税の問題を避けるために、福利厚生に関する各種の規程(慶弔規定であったり、旅費規定など)を作成し、継続して適用していくことが好ましいです。

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