役員報酬(やくいんほうしゅう)
【目次】
取締役や監査役といった会社の役員に定期的に支払われる報酬のことです。
1.科目の内容
「役員報酬」とは、会社の取締役、監査役などの役員に対して、会社が定めた一定の支給基準によって規則的に支給される報酬を表す勘定科目です。
以前までは、取締役などに対する報酬は「役員報酬」として発生時に費用として処理して、取締役などに対する役員賞与は利益処分によるものとして会計処理されていました。
しかし、「役員賞与に関する会計基準(平成17年)」では、役員賞与も経済的実態は費用として処理される業績連動型報酬と同様の性格ということとなり、会計上、費用として処理されることになりました。
税法上は、定期的に支給される給与を「役員報酬」として損金算入を認める一方で、臨時的に支給される給与に関しては役員賞与として損金算入を認めていませんでした。しかし、会計上の役員賞与の会計処理に対応して、一定要件の下で一部損金算入を認めています。
通常、役員とは、取締役、会計参与、監査役、理事、監事、執行役、清算人など会 社法に規定する役員をいいます。しかし税法上では、その名称は問わず、顧問、相談役といった地位や職務内容から判断して会社の経営に従事していると認められるものなども役員とみなされます。これらのみなし役員に該当してしまうと、税務上の役員報酬支給基準により支給していなければ損金不算入となってしまいますので、ご注意ください。
2.仕訳例
役員報酬の発生は「役員報酬」勘定を借方に、取り消しなどの場合は貸方に記入します。「役員報酬」は費用ですので、通常、借方に記入されます。
今月分の役員報酬について、未払計上した。
(借方)役員報酬 500,000円/(貸方)未払金 500,000円
3.過大役員報酬
税法上、「役員報酬」は原則として損金に算入されます。ただし、職務の対価として不相当に高額の報酬を支給している場合は、不相当に高額な部分は過大報酬とみなされ、損金に算入することができず、税務上加算することとなります。
不相当に高額がどうかの判定は、
- 実質基準
- 形式基準
によります。損金不算入となる金額は、実質基準と形式基準で判定した金額のうちいずれかが多い金額となります。
実質基準
その役員の職務内容法人の収益および使用人に対する給与の支給状況、同種の事業類似した事業規模法人の支給状況等に照らし合わせて、役員の職務に対する対価として不相当に高額と認められ場合のその高額部分のことです。
形式基準
定款の規定または株主総会等の決議によって、役員の給与として支給することができる支給限度額を超える給与を支給した場合の、その超える分の額のことです。
4.税務上の留意点
役員給与に関しては、税法上、
- 定期同額給与
- 事前確定届出給与
- 利益連動給与
に区分され、いずれにも該当しない給与は損金不算入となります。
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