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自己株式(じこかぶしき)


【目次】

会社が取得した自社株式のことを自己株式といいます。資本の払戻しと実質同じなため、株主資本の控除項目です。

1.科目の内容

「自己株式」とは、会社が自社の発行している株式を取得した場合の株式を表す勘定科目です。いわゆる金庫株のことです。

「自己株式」は自社の株式ですが、株式自体は他社の株式と変わりなく、どちらも有価証券です。しかし、自社の株式を自らが取得することは、実質的に資本の払い戻しの性質を持ちますので、株主資本の控除項目(純資産の部にマイナス表示)として表示されます。

昔は、自己株式の取得は、資本充実の原則を害するものとして、原則として禁止されていました。例外的に、合併・分割の買取請求など一定の場合には、自己株式の取得が認められていましたが、遅滞なく処分又は消却する必要がありました。

しかし、平成13年の旧商法改正によって、株主総会の決議によれば一定の枠内の自己株式の取得が認められ、その保有についても制限がなくなりました。さらに、平成15年旧商法改正によって、定款に規定すれば取締役会の決議により自己株式の取得が可能になりました。

現行の会社法では、株主総会で取得する株式の数などを定めれば、分配可能額の範囲内で、株主との合意により自己株式の取得ができることとされました。

自己株式を使えばさまざまなことが可能となります。前オーナーから相続した株式を相続人に売却し、相続税の納税資金に充てることもできてしまいます。

2.仕訳例

自己株式を取得した場合などには、「自己株式」を借方に記入します。

自己株式を処分したり消却した場合には、「自己株式」を貸方に記入します。

役員から自社の株式を取得した。
(借方)自己株式  500,000円/(貸方)普通預金  500,000円


3.会計処理

自己株式の取得、処分、消却の会計処理は、以下のとおりです。

  • 自己株式を取得した場合

取得価額をもって「自己株式」の金額とし、純資産の部の株主資本から控除して表示します。

なお、自己株式の取得価額は金銭で支払いが行われた場合は、支払対価とします。ただし、金銭以外の場合には、取得に際して移転した資産と負債の適正な帳簿価額によって算定することになります。

  • 自己株式を処分した場合
    自己株式の帳簿価額をもって「自己株式」を減少させます。なお、帳簿価額と処分対価との差額については、次のように処理します。
    • 自己株式処分差益の場合:「その他資本剰余金」に計上
    • 自己株式処分差損の場合:「その他資本剰余金」から控除(控除しきれない場合は「その他利益剰余金」から控除します。)
  • 自己株式を消却した場合
    消却させる自己株式の帳簿価額をもって「自己株式」を減少させ、同額だけ「その他資本剰余金」を減少させます(控除しきれない場合は、「その他利益剰余金」から控除します。)

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