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退職給付引当金(たいしょくきゅうふひきあてきん)


【目次】

従業員が退職する時に支払われる退職給付に備えるための引当金です。

科目の内容

「退職給付引当金」とは、将来、従業員が退職する際に支払われる退職給付に備えて引き当て計上した場合の、貸方の勘定科目を表します。

「退職給付引当金」の対象とする退職給付は、退職一時金(従業員の退職に基づいて企業が直接負担するもの)の他、退職年金(企業年金制度から給付されるもの)を含みます。

退職給付の将来の支払いは、従業員が毎年勤務した労働の対価として支払われる賃金の後払い的なものです。そこで、退職給付の支出時に費用とせずに、勤務期間に応じて費用化し、引当計上します。中小企業においては、退職給付引当金を計上していない企業も多々見受けられますが、銀行の与信判断にも影響を及ぼしかねないので、計上するようにしてください。

繰入額は退職給付費用として会計上費用計上されますが、税金計算上は費用として考えませんので、税金計算には影響しないことになります。従業員が退職してはじめて債務が確定することになりますので、そのときに損金に計上することになります。

具体的には、将来の退職給付のうち、当期の負担に属する額を当期の費用(退職給付費用)として「退職給付引当金」に繰り入れ、その累積額を貸借対照表の負債の部に「退職給付引当金」として表示します。

ただし、小規模企業(従業員300人未満)等について、継続適用を要件として、期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法などの簡便法が認められています。

仕訳例

退職に伴い退職給付引当金を取り崩した場合は、「退職給付引当金」を借方に記入します。

決算にあたり当期の退職給付費用を繰り入れた場合は、「退職給付引当金」を貸方に記入します。

決算にあたり、退職給付引当金を繰り入れた。
(借方)退職給付費用  500,000円/(貸方)退職給付引当金  500,000円

会計処理

退職給付の会計処理は、まず、必要な「退職給付引当金」を退職給付債務から年金資産(時価)を差し引いて計算します。

退職給付債務は、退職時に支払うこと予定されている退職金総額(退職給付見込額)のうち、当期末までに発生したと認められる額を一定の割引率および退職時から現在までの期間(残存勤務期間)で割引計算します。

なお、年金資産とは、企業年金制度に基づいて退職給付のために積み立てられている資産です。

決算時には、事業年度ごとに発生する退職給付費用の額を算出し、「退職給付引当金」に繰り入れます。退職給付費用は、原則として次の式によって計算されます。

退職給付費用
=勤務費用+利息費用-期待運用収益+過去勤務債務・数理計算上の差異

  1. 勤務費用:退職給付見込額のうち、当期に発生した認められる額(割引計算)i
  2. 利息費用:期首の退職給付債務に、割引率を乗じた額
  3. 期待運用収益:期首の年金資産に、期待運用収益率を乗じた額
  4. 過去勤務債務・数理計算上の差異:退職給付水準の改定等で発生した退職給付債務の増加・減少額と、年金資産の期待と実際の運用成果の差異など

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Tag: 固定負債

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