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海外旅行者に対する免税販売とは
海外旅行者に対する免税販売について解説しています。
目次
1.海外旅行者に対する免税販売とは
海外旅行や海外支店の訪問等のために日本から出国する居住者が、その渡航先において贈答用に供するものとして出国に際し携帯する物品で金額基準などの一定の要件を満たしているものについては、この物品を販売する事業者が輸出するものとして消費税法では輸出免税の規定が適用されます。
居住者が海外旅行や海外支店訪問のため出国する際に免税となる制度は、事業者自体が輸出者となるものではありません。
しかし、輸出と同じ結果となることから、一定の要件を満たすことを条件として輸出物品販売場において、非居住者に対して物品を販売する場合に準じて輸出免税となります。
なお、この居住者に対する輸出免税が適用される制度はあくまで居住者に対する販売であり、消費税法第8条に基づく「輸出物品販売場制度」の免税ではなく、一般的なコンテナによる輸出など消費税法第7条に基づく「輸出免税」の規定が適用されます。
2.免税販売の要件とは
海外旅行者に免税販売(輸出免税販売)するためには,消費税法基本通達7-2-20において次のすべて要件を満たす必要があります。
【海外旅行者に対する免税販売の要件】
(1)輸出物品販売場(免税店)の許可を受ける販売場であること
(2) その物品が渡航先における贈答用として出国の際に携帯し帰国若しくは再入国に際して携帯しないことの明らかなもの又は渡航先においてその海外旅行者が2年以上使用若しくは消費するものであること。
(3)譲渡に係る物品が次の(3)-1又は(3)-2であること
(3)-1渡航先における贈答用に供して帰国若しくは再入国に際して携帯しない
ものであること
(3)-2渡航先において2年以上使用若しくは消費するもの
(4)譲渡に係る物品の1個当たりの対価の額が1万円を超えるもの
(5)上記(3)の要件を満たすものであることにつき譲渡を受ける者が作成した「海外旅行者が出国に際して携帯する物品の購入者誓約書」を事業者において保存すること
(6)譲渡を受けた者が輸出したことにつき税関長が証明した「輸出証明書」を事業者において保存すること
【海外旅行者が出国に際して携帯する物品の購入者誓約書】
【輸出証明申請書】
3.免税販売の方法
海外旅行者に対する免税販売制度による免税販売手続は次のような流れで行われます。
【海外旅行者に対する免税販売の流れ】
購入者 輸出物品販売場へ誓約書の提出
↓
輸出物品販売場 購入者へ物品の引き渡し
↓
購入者 税関へ輸出証明書の申請
↓
税関 購入者へ輸出証明書の交付
↓
購入者 免税物品の輸出
↓
購入者 輸出物品販売場へ輸出証明書の提出(郵送など)
↓
輸出物品販売場 誓約書及び輸出証明書の保存
なお、この制度により消費税が免除された物品を携帯して出国した海外旅行者が、免除された物品を携帯して帰国又は再入国した場合(その物品を携帯して出国した時から2年を経過したものであるときを除く。)には,その物品について他の法律により特に消費税を免除することとされているときを除き消費税が課税されることになりますのでご留意ください。この場合、その海外旅行者にその物品を販売した事業者について免税が取り消され、その事業者から消費税を徴収することになってしまいます。