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特定期間における課税売上高 消費税の仕組み


【目次】

1.特定期間における課税売上高の計算方法

特定期間における課税売上高の算定方法については、基準期間における課税売上高の算定方法と基本的には同じです。

ただし、基準期間における課税売上高の算定上は、基準期間が1 年でない場合に年換算を行うのに対し、特定期間における課税売上高の算定上は、特定期間中に発生した課税売上高をそのまま用い、年換算は行いませんので注意する必要があります。

2.特定期間における課税売上高の計算上の留意点

2-1.免税売上高

免税売上げは課税取引のうち一定の取引であり、特定期間における課税売上高に含まれることになります。(基準期間における課税売上高の算定方法と同様です。)

課税対象外収入(不課税取引)や非課税売上げは課税取引ではありませんので、特定期間における課税売上高に含める必要はありません。

2-2税抜処理

特定期間における課税売上高は、税抜金額で算定します。

したがって、課税売上げについては税抜処理を行うことになりますが、免税売上げについては、もともと課税されておらず、その売上げに消費税が含まれていませんので、税抜処理を行うことはできません。

(注1) 特定期間が免税事業者の場合
特定期間自体が免税事業者である場合には、その課税売上げに消費税が含まれていないため、税抜処理はできません。

(注2 ) 税率引き上げ時の留意点
税率引き上げ時において、特定期間における課税売上高を算定する場合には注意が必要です。

たとえば、平成26年4 月1 日から平成27年3 月31日までを当課税期間とする3 月決算法人の場合、その特定期間は平成25年4 月1 日から平成25年9 月30日までとなります。

この場合、その特定期間は税率引き上げ前の期間ですから、税抜処理を行う場合には、課税売上高に100/108を乗ずるのではなく、100/105を乗ずることになります。

2-3.値引き、返品、割戻しなどの取扱い

特定期間における課税売上高は、売上げについての値引き、返品、割戻しがあった場合には、これらの金額を控除した後の純売上高で算定します。

課税売上げだけではなく、免税売上げについても、値引き、返品、割戻しがあった場合にも総売上高からこれらの金額を控除することになります。

なお、この場合、課税売上げに係る返還等の金額は税抜処理をしますが、免税売上げに係る返還等の金額については税抜処理はしません。

一方、売掛債権について貸倒損失が発生した場合や貸倒損失として処理した後に貸倒回収が発生したとしても、これらの金額については、売上げの調整項目ではありませんから、総売上高から控除又は総売上高に加算したりはしません。

(注) 税率引き上げ時の留意点
売上げについての返還等の金額を総売上高から控除する場合には、売上げとの期間対応を考える必要はありません。あくまでその返還等を行った日の属する課税期間の総売上高から控除することになります。

なお、総課税売上高から控除する課税売上げに係る返還等の金額について税抜処理をする場合、税率引き上げ後には注意する必要があります。

たとえば、平成26年3 月31日以前の課税売上げについて、平成26年4 月1日以後に開始した課税期間において返品が発生した場合には、税込返品高に100/108を乗ずるのではなく、100/105を乗じて税抜処理を行うことになります。

2-4.特定期間における課税売上高の算定単位

特定期間における課税売上高は、必ず事業者単位で算定することになります。

したがって、本店ごと、支店ごとというように、事業所単位で算定することは認められませんので注意する必要があります。

3.給与等の金額

給与等の金額とは、所得税の課税対象とされる給与、賞与等が該当し、所得税が非課税とされる通勤手当や旅費等は該当しないことになります。

また、特定期間中に支払った給与等の金額には、未払額は含まれません。
   

4.新規開業の個人事業者や新設法人の特定期間の捉え方留意点 

新規に開業した個人事業者の開業2 年目や新設法人の設立2 期目については、その特定期間の捉え方に注意が必要です。

前年の7 月1 日に開業した個人事業者の場合
14-09-08 前年の7 月1 日に開業した個人事業者

当年の基準期間はありません。また、個人事業者の場合、特定期間は必ず前年の1 月1 日から6 月30日までとなります。したがって、特定期間における課税売上高がありませんから、当年は免税事業者となります。

前事業年度の4月1日に設立された12月決算法人の場合
14-09-08 前事業年度の4月1日に設立された12月決算法人の場合

当事業年度の基準期間はありませんが、前事業年度の4/1~9/30が特定期間
となりますので、この特定期間の課税売上高、かつ、給与等の金額が1,000万円を超える場合には、当事業年度は課税事業者となります。

前事業年度の6月1日に設立された12月決算法人の場合
14-09-08 前事業年度の6月1日に設立された12月決算法人の場合

当事業年度の基準期間はありません。また、前事業年度は7カ月以下となり短期事業年度となりますから、特定期間はカウントしません。さらに、前々事業年度がありませんので、最終的に特定期間がなく、当事業年度は免税事業者となります。

(注) 資本金1,000万円以上の場合には新設法人の特例が適用されます。

5.特定期間の適用時期

この改正は、平成25年1月1日以後に開始する個人事業者のその年又は平成25年1 月1 日以後に開始する法人のその事業年度について適用されます。

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