輸出業(越境EC、eBay、海外Amazon等)の税務調査・税金還付・確定申告

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東京都北区赤羽にある税金Lab税理士法人の代表税理士 鈴木です。

1.輸出業(越境EC、eBay、海外Amazon等)の消費税還付申告の調査強化

2022年現在、税金(特に消費税)還付申告につき、国側の還付審査での調査や還付手続を一旦停止して(還付保留といいます)取引内容の確認を行うため消費税還付までの期間が長期化しております。

2022年1月21日国税庁から「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」という文書が公開されました。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0022001-098.pdf

内容は
・消費税の還付申告の中には消費税の課税取引(消費税がかかる取引)や消費税非課税取引といった消費税取引の誤りや固定資産の取得など金額の大きい消費税の誤りが見受けられる

・国税当局は消費税の還付を保留しつつ、消費税の還付の原因を確認するため、行政指導として電話や書面(お尋ね文書)を使った質問や追加的な資料等の提出(輸出許可通知書やインボイス等の写し、設備投資等資産の取得があれば契約書、請求書の写し、取引実態を確認できる資料)を依頼したり、実地調査をしたりすることもある

・取引の実態の確認が困難である、取引の金銭授受の事実確認が困難である場合、輸出関係根拠書類が適切に保管されていない場合など確認に時間がかかれば消費税還付の保留期間は長期化する

といったものです。

背景には、取引実態の確認が困難である場合や消費税不正還付事案が増えていることがあり、書面上で不正を見つけることは難しく、国税当局は申告後の調査を強化し、国税庁は納税者の理解と協力を呼びかけています。

弊社では毎日のように消費税還付申告を行っており、年間の消費税還付申告数はものすごい数となりますが、前年以前(2021年以前)と比べ格段に消費税還付までの時間がかかり、税務調査(電話による確認含む)が増大しているのを実感しております。

輸出免税取引が多いと、課税仕入れに係る仮払消費税を仕入税額控除し切れず、還付申告になります。輸出による消費税還付の場合、下記の点を念入りに確認します。

1.消費税輸出免税に該当しない取引を、輸出免税扱いにしていないか。そのために消費税科目別集計表を全科目、全取引念入りに確認する

2.消費税の還付申告は、その理由や適用要件、関係書類等を特に念入りに確認し、電話がかかってきたときに即答できるように準備しておく

輸出取引は消費税という税金を免除する制度ですから、消費税輸出免税に係る税務調査のポイントは、「輸出取引に該当するかどうか」という点の確認に尽きます。

輸出取引に該当するかどうかの準備として、消費税法が想定する「輸出」、すなわち国外に向けて商品を送り出す取引に該当することと、自分が輸出の当事者(輸出が許可された者)であることを明確に即座に説明できなければなりません。

輸出が主たる事業であれば、消費税は常に還付申告となります。消費税還付金は運転資金としてとても重要であるため、還付金が戻るまでの課税仕入れに係る仮払消費税の資金負担を軽減するため課税期間(消費税の計算期間)を3か月(年4回申告)又は毎月(年12回申告)に短縮できる特例も設けられています。(年1回、3か月ごと、毎月の3パターンしか存在しません。)

輸出業者の場合は、還付になる理由が明らかなのですが、それでも輸出許可書や関係するインボイス、輸出商品の国内仕入れの状況などは、行政指導や税務調査で確認を求められます。

消費税の不正還付は、国に対する詐欺行為ですので、特に力を入れていくという当局の意思表示です。実際そのようになっています。

輸出業(越境EC、eBay、海外Amazon等)の実務経験で税務調査経験が豊富な税理士に依頼していただくのがおすすめです。



2.輸出業(越境EC、eBay、海外Amazon等)の税務調査は必ず行われるか

消費税還付申告の税務調査が強化されており、税務調査や電話での確認、書面での確認がかなり増えております。ただすべての輸出業者へ確認を行っているわけではなく、

・はじめての輸出による消費税還付申告時
・ある程度消費税還付額が大きい(目安100万円以上か?)場合
・中国への輸出

の場合に接触が多い印象です。特に中国への輸出は100%実地調査、電話確認、書面確認があると思っておいたほうがいいです。

書面確認は納税者へ直接送られることが多く、実地税務調査の連絡や電話での確認は税理士に直接電話がくることが一般的です。電話での確認の際取引内容を明確に、わかりやすく説明できないと実地の税務調査に変更となることも考えられるため、税理士へ申告を依頼している・顧問契約がある納税者は常に取引内容や処理内容、質疑応答履歴や根拠資料などを情報共有し税理士が説明できるようにしておくというのがとても重要です。クラウドストレージ(DropboxやGoogleDriveなど)でフォルダ共有し常に資料を共有できていれば税理士側にてすべて書類の提出ができるのでおすすめです。



3.輸出業(越境EC、eBay、海外Amazon等)の税務調査で用意する資料

輸出業の税務調査の内容は個人事業と法人で異なります。
法人のほうが用意すべき資料が多く、例えば下記のようなものが必要です。

■売上関係の書類
・見積書
・納品書
・領収書の控え
・ 請求書
・総勘定元帳
・入出金伝票
・輸出許可通知書、海外配送伝票控え
・インボイス
・eBayの場合はセラーハブから取得できるマネージドペイメント(ManagedPayment)のTransactionReport(本アカ、サブアカウント含む)
・Payoneer(ペイオニア)入出金明細、Confirmation of Transfer等

■ 経営関係の書類
・契約書(業務委託先)
・稟議書
・議事録
・同族関係者との取引
・賃貸借契約書
・借入金返済明細表

■ 人件費関係の書類
・給与台帳
・扶養控除申告書
・役員報酬改定の議事録(家族役員、従業員の仕事の内容と報酬給料は適正か)
・特別徴収の住民税の通知書、タイムカードの記録等 (従業員の実在を確認のため)
・社会保険関係の書類

■仕入・在庫・外注費関係の書類
・見積書
・請求書
・納品書
・在庫表(原始記録)
・クレジットカード明細
・どのような商品を扱っているか(トレカ、漫画、コミック、ギター等楽器、ゲームソフト、グラボ、カメラ、化粧品、中古車パーツ、ルアー、レコード、フィギュア、時計、プラモデル、ゴルフクラブ、スニーカー等具体的な商品内容がわかるレシート等必須)
・購入代行を使っている場合購入代行との外注契約書
・スクールに入っている場合はスクールとの契約書

■その他用意したほうがよい書類
・経営者の預金通帳
・会社預金通帳
・当日の現金残高

■想定される質問事項
統括的事項
1)会社の経歴書 (パンフレット)
・設立年月日
・事業内容
・主な取扱商品
・取引金融機関
・支店、営業所等の所在地
・役員の状況
・主な売上先
・主な仕入れ先(メルカリ、ヤフオク等)

2)会社の組織図 役員、従業員の職務分担状況

個人事業では法人で必要である株主総会等議事録が不要、人を雇っていなければ給与台帳等が不要となります。最近では副業で法人設立をすることも多くなっております。



4.輸出業(越境EC、eBay、海外Amazon等)の確定申告のポイント

輸出業(越境EC、eBay、海外Amazon等)の会計処理はかなり難しいと思います。確定申告で注意すべき点はたくさんありますが下記の点は特に注意が必要です。

・預金残高は会計帳簿と実際の残高が合っているか
・為替レートはどのサイトのものを使い、どのレートを使用しているか
・有在庫か無在庫か、在庫計上もれ(預け在庫や輸送中のものなど)がないか
・仕訳の重複がないか
・会計帳簿は消費税法30条に即した帳簿要件を満たしているか(税務調査に耐えうる帳簿の付け方のコツがあり詳細に取引内容を会計帳簿に反映しておく必要がある)
・消費税科目別集計表の作成をしているか(税務署への提出が必須)
・消費税科目別集計表の消費税課税区分、税率が合っているか
・消費税精算差額が多額に発生していないか
・eBayの場合売上の集計、 selling fees(Valuefeeやadfeeなど)の手数料の集計と消費税課税区分が適正か
・Amazonの場合登録国外事業者に該当する国かどうか、該当する場合消費税課税対象と課税対象外を適正に分けているか
・輸出許可通知書と売上先の名前が一致しているか、輸出者の名義は誰になっているか
・還付銀行口座名を記載しているか(法人名義の口座を保有していない法人は郵便局での現金受取となり還付までかなり時間がかかります)
・商品返品時に輸入手続きを行った場合関税や輸入消費税等の処理は適正か
・根拠資料はわかりやすく整理されているか
・法人の場合は消費税還付申告時にPDFで根拠資料を提出しているか
・外貨建資産及び負債の期末換算について法定評価方法(届け出がある場合は届け出た方法)により計算しているか
・為替レートの著しい変動があった場合発生時換算法により換算される外貨建資産及び負債について15%ルールの適用を検討しているか(法基通13の2-2-10)

などなど本来はもっとたくさんあり、今後の輸出業(越境EC、eBay、海外Amazon等)の消費税還付調査強化を考えると税理士に依頼するのがおすすめです。

輸出物販で消費税還付をお悩みの方などはぜひご相談ください。

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