相続税の税務調査が激減する方法

相続税の税務調査が激減する方法


1.相続税の税務調査が激減する書面添付制度とは

東京都北区赤羽の税理士 鈴木宏昌です。

弊事務所にて相続税の申告を行う場合、税理士法第33条の2に規定する書面添付というものを行っております。本記事では税務調査が激減する書面添付について解説いたします。


2.書面添付の効果とは

書面添付は、税理士が作成した申告書について、どのように計算し結論に至ったのかなど詳細に記載した書面のことです。

また、税務の専門家に付与され、税理士の権利の一つとして位置づけられているものであり、計算し、整理し、または相談に応じた事項を明らかにし、申告書の適正性を表明する書面を添付することにより、税理士が独立した公正な立場において、高度の注意義務を果たしたこと、誠実義務と忠実義務を尽くしたことを明らかにします。

相続税申告書提出時に書面添付をすることにより、下記のような効果があります。
・相続税の税務調査の省略が可能となり、税務調査が激減する
・意見聴取により、過少申告加算税の課税を防げる
・相続手続きの見える化になる
・税法上の論点と作業でのミスに気が付きやすい


2-1.相続税の税務調査の省略が可能となり、税務調査が激減する

書面添付をして相続税の申告書を提出した場合、税理士への意見聴取により税務署は疑問点を解消させますので、税務調査を省略につなげることができます。

意見聴取で税務調査を省略できず、税務調査に移行した場合であっても、税理士への意見聴取により税務署の疑問点はすでに明確になっていますので、税務調査の簡素化を図ることができます。実際の調査時間もぐっと減らすことができます。

税理士への意見聴取の結果税務調査を行う必要がないとなった場合、「意見聴取結果についてのお知らせ」(調査省略通知と呼ばれています)が発行され、税務調査が省略されます。

税務署からの聞き取りは税理士が行うため、納税者である相続人の方は書面添付を行っていない相続税申告に比べ格段にストレスがなくなります。それだけでも書面添付を行う価値があります。


2-2.意見聴取により、過少申告加算税の課税を防げる

意見聴取は税務調査ではありませんので、意見聴取段階で誤りが見つかり、自主的に修正を行い修正申告をした場合、過少申告加算税がかかりません。(過少申告加算税は追加納税額の原則10%です。ただし、加算税がかからない場合でも、納期限の翌日から納付日までの間の延滞税はかかります。)

税務署は、過少申告加算税の免除が納税者にとって大きなメリットであると捉えており、「税務調査」の前に行われる税理士への意見聴取を積極的に活用していく方針を出しています。相続税申告の際には是非書面添付制度を活用しましょう。


2-3.相続手続きの見える化になる

相続税申告では、被相続人の死亡を原因として相続税申告作業が始まりますので、相続人の方の中には全ての財産状況がわからないことがあります。また、相続というのは人生で何度も経験するということはあまりなく、はじめて申告するということがほとんどです。その場合、相続税の申告がどのように進んでいくかわからないものです。

書面添付により相続手続き業務が明確化しますので、税務調査省略につながるということだけではなく、お客様にとっても相続手続きの「見える化」につながります。


2-4.税法上の論点と作業でのミスに気が付きやすい

納税者の方にとっては直接関係のないことかもしれませんが、書面添付を行う場合、チェックシートやチェックリストなどを活用し、100%間違いのない完璧な申告書を作成しますので、問題点をもれなく明確化することができます。また、税理士側が納税者に申告書作成の経緯を説明しやすくなりますので、納税者の協力度合いや責任の所在を明確化することができます。


3.書面添付が進まない理由

メリットがとても多い書面添付制度ですが、実は書面添付をして申告をしている税理士はとても少ないのです。書き方がわからないというのもあるかと思いますが、書面添付は全ての計算根拠を文字にして提出しなければならないため、とても手間がかかります。また、計算根拠に虚偽記載がある場合、税理士が罰せられてしまうというリスクがあり、ほとんどの税理士は作成していないというのが現状です。


4.税務調査対象に選ばれやすい申告書とは

相続税の申告をした場合、税務署では全ての申告に対し税務調査を行うわけではありません。税務署において税務調査対象として選ぶ傾向がある申告は下記のとおりです。


4-1.家族名義の預金のチェックが行われていない申告書

相続税の申告で一番指摘が多い事項は家族名義の預金です。
配偶者やこどもの所得が少ないのに、多額な家族名義の預金があるにも関わらず、被相続人の名義預金かどうかのチェックがされていない場合があります。財産をどのように蓄積したのかについて説明がない申告書は税務調査対象となります。


4-2.生前贈与がある場合の申告書

被相続人の生前に贈与がある場合、
・贈与税の申告書の提出
・贈与契約書の作成
・預金管理処分をこども本人が実行していたか
などを確認することが必要となります。
その結果、贈与に問題がないことを確認した資料や説明がなされていない相続税申告書は税務調査対象となります。


4-3.生前に所得が多いのに財産が少ない申告書

生前に所得が多かった方というのは、所得に応じて多くの財産を残していると思います。金融資産は簡単に隠せますので、所得が多かったのに金融資産や財産が少ない申告書というのは税務調査対象に選定されやすいです。


4-4.不動産や株式の売却、死亡直前の多額な預金引出がある場合

生前に不動産の売却をしている場合、多額の資金移動があります。20年以上前の古い時期の売却であったとしても、売却資金がどのように使われたのか調査されますので、売却資料を入手して説明資料を残しておきましょう。

また、亡くなる5年間(場合によっては10年間)の期間にわたって被相続人口座から引き出された50〜100万円以上の資金移動については、何に使ったのか質問されますので、どのような使われ方をしたのか全て明らかにする必要があります。

相続開始直前に被相続人の口座から引き出された多額の預金についても説明が必要となります。多額の預金引出があるにも関わらず、手許現金としての申告がなく、説明がない場合には税務調査の対象となります。


4-5.借入金がたくさんあるのにそれに見合う財産がない場合

借入金がある場合、その借入金に見合う不動産などの財産があるはずですが、借入額と財産額が対応していない申告書は調査対象となります。例えば、借入をして不動産を購入したが、売却額が借入額より低く借入金が残ってしまったなど理由を記載しておくことが対策となります。



4-6.財産評価の根拠資料が不足している申告書

相続税申告書を税務署へ提出する場合、全ての財産についての根拠資料(エビデンス)を提出する必要があります。土地については、その土地の利用方法、実測面積と公簿面積との比較、固定資産税名寄帳や登記事項証明書などにより土地を網羅しているか、評価の詳細な計算資料の提出が必要となるなど全ての根拠資料の提出がない、わかりにくい申告書などは税務調査の対象となります。税法の適用が間違っている申告書についても当然に税務調査の対象となります。

相続税申告において税務調査を省略したい、申告後に税務署から連絡があるかどうか不安なので書面添付をしたいというは一度ご相談ください。

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