輸入業者の売上が5,000万円を超えた場合の消費税対策

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1.輸入業者の売上が5,000万円を超えた場合の消費税対策

東京都北区赤羽の税理士 鈴木です。

最近はネット輸出入業者のお客様がとても増えています。

輸出の場合は消費税の還付を受けることができますが、輸入の場合は商品の仕入れ分の消費税を控除することができないので消費税納税額が高くなってしまいます。特に5,000万円の売上額を超えてしまうと簡易課税方式という制度が利用できず消費税額が激増してしまいます。その場合の対策について解説いたします。



2.法人化をする

個人事業でネット輸入業(一般的にはAmazonFBAが多いかと思います。)を行っている場合、法人化をすることにより消費税を2年間支払う必要がなくなります。

その要件としては、

  • 資本金を1,000万円未満とする
    (資本金1,000万円未満の新設法人のうち、その課税売上高が5億円を超えるような大規模事業者( 個人を含みます。)にその発行済株式の50%超を保有されているもの(「特定新規設立法人」)については、その基準期間がない設立1期目及び設立2期目について納税義務が免除されません。)
  • 特定期間中の課税売上高を1,000万円未満とするか、売上高が1,000万円を超えたとしても特定期間中の給与等の金額を1,000万円未満とする。
    特定期間についてはこちらをご参照ください。
    https://www.suztax.com/index.php?ctax01-12

上記要件を満たすことにより個人事業で消費税を支払う必要があった事業者は、法人で2年間消費税を支払う必要がなくなります。


2.法人の場合

法人で消費税課税事業者の場合、判定対象となる期間の売上高が5,000万円未満であれば消費税額は低く抑えられます。なぜかというと、簡易課税制度という制度を使えるからです。

簡易課税制度では、仕入れ時に支払った消費税をみなし仕入れということで控除することができます。現状売上時に預かる消費税は8%ですが、ネット輸入業の場合、売上で預かった消費税の80%を仕入れで支払った消費税として計算することができます。

ですから、

8%-8%×80%=1.6%

売上の1.6%の消費税の納税で済みます。このパーセンテージであればそこまで消費税は怖くないのではないでしょうか。

ただし、簡易課税制度は売上高が5,000万円までの場合しか使えません。5,000万円を超えてしまうと本則課税という実際に預かった消費税から実際に支払った消費税を支払うことになります。ネット輸入業で問題となるのは、海外で仕入れた商品は消費税を支払っていないので、商品分の消費税を引くことができず、売上で預かった消費税を丸々支払う必要があるということです。

Amazonで販売をしていると仮定し、売上高1億円であった場合、その消費税は800万円にもなります。実際にはAmazonにFBA手数料などを支払うためそこまでにはなりませんが、かなり高くなってしまいます。何か対策はないのでしょうか。


3.会社を分ける

売上が数億円以上ある場合には使えませんが、売上が5,000万円〜1億円の範囲であれば、会社をもうひとつ作るということをおすすめしています。そうすればどちらの会社でも簡易課税制度を適用することができ、本則課税のときより劇的に消費税を下げることができます。さらに、新会社では2年間消費税が免税となります。

例えば、売上が1億円の会社を分けたとします。分社の方法としては、取扱い商品などで分けるといった方法が考えられます。

それぞれの会社で簡易課税制度を使えるとすると、
本則課税の消費税1億円×8%=800万円が、5,000万円×1.6%(1.6%の根拠は上記参照)×2社=160万円となり、640万円も消費税を下げることができるわけです。

消費税額が10%にあがればより効果が出てくる方法です。また親子会社関係にすれば、グループ法人税制を適用するなどにより親子会社間で色々やりとりができるようになります。

当事務所ではネット輸入業者について積極的にアドバイスし、悩みを解決していきます。お困りの方は一度ご相談ください。

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