不動産管理委託方式の法人の管理料はいくらにすべきか

不動産法人化の管理委託方式の法人の管理料はいくらにすべきか

目次

1.不動産法人化の3つの方法とは

東京都 北区の税理士 鈴木です。

個人の不動産オーナーは、所得税が高くなってくると法人化を検討すべきですが、その個人の不動産から生じる所得を会社に分散 (移転)する方法として、次の3つの方法があります。

  • 管理委託方式
  • 一括転貸方式(サブリース方式)
  • 会社が不動産を所有する方式

今回は管理委託方式の法人の管理料について説明いたします。



2.管理委託方式の法人の管理料はいくらにすべきか

管理委託方式は、不動産(収益物件)は個人の不動産オーナーが継続して保有しますので、法人に不動産を移すということはしません。

不動産オーナーかは会社に管理料を支払うのですが、支払う管理料は「家賃収入の○%(管理料割合)」という形で契約書に定められることが一般的です。

この管理料は、管理業務の内容によって決めますが、「何%までなら適正な範囲」という明確な基準かはありません。

不動産オーナーの間では、最高裁の判断は7%だったとか、国税不服審判所の裁決例では20%まで認めた例があるとか、税務調査で20%までは認められたとか、いろいな説があります。
税務調査で、「不相当に高額」と判断するか否かは、同族会社に委託されている管理業務の内容や実態、事業規模や収益の状況などをもとに個々に、第三者に同じ管理業務を委託した場合の管理料と比較して、不相当に高額か否かを判断されます。

ですから、同族会社への管理料を決める際には、第三者である業者の管理実態と管理料を参考に決定すると、税務調査対策となります。

可能であれば複数の管理会社の管理実態と管理料をもとに、税理士等の意見も聞き、管理料を決めれば、税務調査で否認される可能性は低いでしょう。

しかし、一般的には、管理会社の管理料(管理業務の内容によって異なりますが)は月額家賃(一般的には集金額ベース)の3〜8%程度です。しかし、3〜8%のパーセントではなかなか所得の分散(税金の軽減)効果がありません。。


3.管理料をどのように算定すべきか

管理料は委託する管理業務の内容や実態などに応じて個々に算定します。

特に、税務調査では管理業務の実態について厳しくチェックされますので、実際に行った管理業務について、業務日誌をつけるなど業務の記録を残すようにしておくことが必要です。

具体的な管理料は、「家賃収入の○%(管理料割合)」という形で契約されることが一般的です。

この場合の家賃収入には、礼金や更新料等の臨時的、一時的収入や共益費、共用部分の水道光熱費などを除いた家賃収入で計算します。

また、第三者の管理業者に管理業務を委託した場合には、「家賃の集金額(現金ベース)×○%(管理料割合)」で管理料が請求されるケースが一般的です。したがって毎月の管理料は集金額により変動することになります。

しかし、同族の不動産管理会社でそのように計算すると手間がかかり、大変面倒臭いので、管理料計算の簡便性を加味して 「家賃の発生額(契約書による発生ベース)×○%(管理料割合)」 で毎月の管理料を請求しても特段問題はありません。

この場合でも、毎年(又は毎事業年度)ごとに管理実態などを勘案して管理料の見直しを行い、契約書等を整備すべきです。


4.費用の負担は個人と法人どちらか

管理委託方式の法人の場合、管理上の費用をどちらが負担すべきかという問題があります。明確なルールがなく、個人と法人でその都度負担しあっているという場合には、税務調査で否認されてしまいます。

例えば、エレベーター保守管理費用や建物の大規模修繕は個人が行い、管理業務上発生する費用で法人が負担すべきもの(例えば清掃用具の購入費用や共用部分の部品など)は法人が負担するというルール決めをしておく必要があります。

当事務所では、不動産の法人化について積極的にアドバイスし、悩みを解決していきます。お困りの方は一度ご相談ください。

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