赤字が3期続くと株価が高くなる!?

赤字が3期続くと株価が高くなる!?

1.赤字が3期続くと株価が高くなる!?

東京都 北区の税理士 鈴木です。

先日、事業承継のための株価算定をご依頼頂き、株価を算定させて頂きました。

当初の出資額より30倍にもなっているにも関わらず、顧問税理士が何も提案してくれず、株価の算定方法もわからないということでしたので、当事務所が株価算定を行うこととなりました。

結果、平成26年と比較して、平成27年の株価評価額は3分の1にまで下げることができました。


2.なぜ株価が下がったのか

非上場株式を贈与する場合、評価方法は財産評価基本通達に従い評価することになります。

財産評価基本通達で評価をすると、類似業種比準価額という上場会社との比準要素(配当、利益、内部留保)を比較した株価と純資産価額という会社の資産、負債を財産評価した株価をもとに評価額が決まるのですが、今回の会社は類似業種比準価額が6割、純資産価額が4割で評価する会社でした。

一般的には類似業種比準価額をより大きなウェイトで使えた方が株価が安くなり、大会社という分類になると類似業種比準価額か純資産価額どちらか低い方を選択することができます。今回のような会社の場合、会社の規模は中会社の小ですので、類似業種比準価額は6割となります。

類似業種比準価額は配当、利益、内部留保の3つの要素を上場会社と比準するわけですが、このうち利益だけ3倍した数値で評価されます。

ですから、評価対象期の利益がマイナスであり、評価対象期の前の期が黒字であれば、株価はぐっと下がるわけです。

ただ、注意して頂きたいのは、赤字が3期連続すると株価が高くなることがあるということです。



3.なぜ赤字が3期連続すると株価が高くなるのか

赤字を計上すると株価が安くのが一般的ですが、赤字が3期続くと株価が高くなることがあります。

この発動条件としては、

  • 配当をしていない(無配である)
  • 赤字が3期連続している
  • 内部留保がある

この場合には株価が高くなります。
具体的には、

類似業種比準価額×0.25 + 純資産価額×0.75

となってしまいます。

類似業種比準価額を多く使えたほうが株価は安くなるため、類似業種比準価額が25%しか使えないと株価がぐっと高くなってしまいます。今回評価させて頂いた会社では株価が1.5倍にまで上昇してしまいます。

赤字が3期続いて内部留保があるという場合、類似業種比準価額を25%しか使えないという条件を避けるためには、3年に一度配当をするという方法があります。



4.いくら配当すべきか

配当をすると、配当という比準要素を作りだせるため、通常どおりの類似業種比準価額の割合が使えるわけです。

いくら配当すべきかという問題がありますが、下記の評価明細書をご確認頂ければわかると思いますが、類似業種比準価額の計算は一株あたりを50円の株式と仮定した場合で計算されます。

株

また、年配当金額は千円単位で記載することになっていますので、端数処理がされない程度の金額を配当すれば類似業種比準価額の配当の金額の比準要素を作り出せるというわけです。

例えば、
資本金等の額1,000万円
直前期末の発行済み株式数200株
とすると、
1株当たりの資本金等の額50,000円
1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数200,000株
となります。

配当は2年分を平均して年配当金額を計算しますので、(直前期の配当+直前々期の配当)÷200,000株で1円が計上されればいいわけですから、A÷200,000株=1円 ∴A=200,000円以上配当をすれば端数処理がされません。

200株発行しているわけですから、200,000円÷200株=1,000円となり、一株あたり1,000円以上の配当をすればいいことになります。

これで類似業種比準価額のウェイトが少なくなることによる株価上昇が抑えられるわけです。

当事務所では、事業承継や株価評価について積極的にアドバイスし、悩みを解決していきます。お困りの方は一度ご相談ください。

【業務に関するご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。】

03-6454-4223
電話受付時間 (日祝日は除く)
平日 9:00~21:00
土曜日9:00~18:30

チャットワークメールでのお問合せ