所得税、相続税増税の対策としての不動産法人化

所得税、相続税増税の対策としての不動産法人化

1.税制改正により個人課税が強化されてきている

東京都北区の税理士 鈴木宏昌です。

税制改正は毎年行われており、「税制」がどんどん動いています。税制改正の大きな流れですが、法人税率は引下げられ、個人課税は強化されてきています。

平成24年4月1日以後、40.69%であった法人の実効税率(東京都ベース)は改正で35.64%とされましたが、平成27年度税制改正により、さらに33.10%へと2.54%引下げられましたので、このことからも法人税率が引き下げられていることがわかります。

また、大企業については軽減税率がないのですが、中小企業者等については、地域経済を支えているという役割がありますので年800万円以下の所得金額について19%の軽減税率が適用されています。

この軽減税率は平成26年度末まで15%だったのですが、この適用期間は2年間延長され平成28年度末までです。今後の法人税率について、平成27年度税制改正時の参考資料には以下のような記述があります。

平成27年度税制改正参考資料(財務省)より
○法人税については、平成29年度にかけて段階的に財源が確保されることとなるが、経済の好循環の実現を力強く後押しするため、平成27年度から税率引下げを先行させる。
○大法人向けの法人事業税所得割については、外形標準課税の拡大に.あわせて、標準税率を引き下げる。

○これらにより、国・地方を通じた法人実効税率(現行:34.62%(標準税率ベース))は、平成27年度に32.11%(▲2.51%)、平成28年度に31.33%(▲3.29%)となる。

○なお、第2段階として、平成28年度税制改正においても、課税ベースの拡大等により財源を確保して、平成28年度における税率引下げ幅の更なる上乗せを図る。

◯さらに、その後の年度の税制改正においても、引き続き、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続する。

これに対し、個人所得課税は、平成27年分以後、所得税の最高税率が、課税所得金額4,000万円超の所得に対して40%の税率が45%に引上げられました。

これにより、個人住民税と合わせると超過累進税率の最高税率は55%(復興特別所得税を合わせると55.945%)となりました。非常に高いです。

また、給与所得者に適用される給与所得控除が段階的に縮減され、以下のようになります。

給与所得控除額の縮減
平成25年分~27年分 上限245万円(給与収入1,500万円が限度)
平成28年分 上限230万円(給与収入1,200万円が限度)
平成29年分以後 上限220万円(給与収入1,000万円が限度)

※個人住民税への適用は各々翌年度分からとなります。


2.相続税も増税

平成27年以後、相続税・贈与税の課税も強化され、相続税の最高税率は50%(3億円超の部分に適用)から55%(6億円超の部分に適用)へと5%の引上げが行われました。相続税の補完税である贈与税の最高税率も50%から55%(一般贈与の場合3,000万円超の部分に適用、20歳以上の者が直系尊属から受けた特例贈与の場合4,500万円超の部分に適用)に引上げられています。


3.増税に対する対策

給与所得しかない方であれば、対策は難しいです。対策としては、事業所得者であったり、不動産所得者の方が法人を設立し、所得を法人に移転するということが比較的簡単に実行できます。法人に所得を移転すると、法人から給与としてもらうことになるので、結局給与所得となってしまうのですが、一部不動産所得や事業所得を残しておき、一部を給与とすることで給与所得控除などをうまく活用し、合法的に賢く節税を行うことが可能です。

当事務所では、不動産の法人化案件を多数行っており、経験豊富な代表税理士が直接担当いたします。ご検討されているかたはお気軽にご連絡ください。初回相談は無料です。

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