株式交換の具体的手続~契約の承認決議から事後開示まで

株式交換の具体的手続~契約の承認決議から事後開示まで
平成11年商法改正及び税法改正により、持株会社への株式移転の方法として、株式交換の活用が選択肢に追加されました。株式交換契約の承認決議から事後開示までを解説いたします。

目次

1.株式交換契約の承認決議

株式交換においては、株式交換完全子会社及び株式交換完全親会社は効力発生日の前日までに、株主総会で株式交換契約の承認を得る必要があります。

株主総会の決議は原則として特別決議を必要とします。

特別決議
会社法309条2項による株主総会の決議方法で、総株主の議決権数の過半数に当たる株式を有する株主が総会に出席し、その出席している議決権の3分の2以上に当たる多数をもって決議すること。



2.株主の株式買取請求

株式交換契約が承認されれば、反対株主は株式交換を阻止することができませんが、反対株主は会社に対して公正な価格で、自己の有する株式の買取りを請求することができます。


3.新株予約権者の新株予約権買取請求

株主の株式買取請求と同様に、株式交換完全子会社の新株予約権の新株予約権者は、株式交換完全子会社に対して、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができます。


4.債権者保護手続

旧商法では、株式交換を実施する場合に債権者保護手続は必要とされていませんでした。

しかし、会社法においては、対価の柔軟化が図られ、また新株予約権付社債の承継が認められたことから、各当事会社の資産に変動が生ずることがあります。

よって、一定の場合に債権者保護手続が必要とされました。具体的には、各当事会社は、

  • 株式交換をする旨
  • 株式交換完全親会社又は株式交換完全子会社の商号及び住所
  • 株式交換完全親会社及び株式交換完全子会社の計算書類に関する事項
  • 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

を官報で公告し、かつ、知れている債権者には、各別に催告をしなければなりません。


5.株券提出手続及び新株予約権証券提出手続

株式交換完全子会社が株券発行会社であって、現実に株券を発行している場合には、株式交換の効力発生日までに株券を提出しなければならない旨を、効力発生日の1ヶ月前までに公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、個別に通知しなければなりません。

この場合、株券は効力発生日に無効になります。

株式交換完全子会社が新株予約権証券を発行している場合で、株式交換対価として株式交換完全親会社の新株予約権を交付する場合、株式交換の効力発生日までに新株予約権証券を提出しなければならない旨を、効力発生日の1ヶ月前までに公告し、かつ、当該新株予約権者及びその登録新株予約権質権者には、各別に通知しなければなりません。


6.事後開示

株式交換完全子会社は、株式交換完全親会社と共同して、株式交換完全親会社が取得した株式交換完全子会社の株式の数その他の株式交換に関する事項として法務省令で定める事項を記載した書面又は電磁的記録を、効力発生日後遅滞なく作成するとともに、効力発生日から6ヶ月間、本店に備え置くことが求められています。

株式交換完全親会社も同様の作成及び開示が求められます。


7.増加資本の登記

株式交換において、資本金の額や発行する株式の総数等を変更する場合、株式交換完全親会社は本店所在地において登記が必要です。株式交換完全子会社は株主が変わっただけで、変更があったわけではありませんから登記は不要です。

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