持株会社を活用した株価対策
持株会社を活用することにより様々な事業承継対策を行うことができます。
目次
1.持株会社対策とは
持株会社とは、個人株主の所有する株式を個人に代わって所有する会社のことをいいます。
事業承継対策として持株会社を考えると、
- 社長の個人財産の管理会社として財産保全会社の機能だけを有する場合
- グループ会社運営の1つとして事業を担当するとともに本体事業会社の株式を保有し持株会社の機能を併せ持つ場合
の2通りが考えられます。
独占禁止法の改正により、他社を支配するための株式保有のみを目的とした持株会社設立が認められ、複数の事業会社を1つの持株会社で束ねてコントロールするという持株会社機能が見直されています。
さらに、平成11年商法改正及び税法改正により株式交換及び移転制度が導入されたため、持株会社化に伴う商法・税法上の障害が取り除かれ、持株会社を活用した事業承継対策の選択肢が広がっています。
上場会社の場合は相続対策と本体事業を区分することが求められ対策選択も制限されてしまいますが、非公開会社の場合は持株会社に関しても種々の対策を打つことが可能です。
2.持株会社対策の税務上の検討ポイント
相続対策規制により持株会社を利用した相続対策は効果がなくなったということを耳にします。
確かに短期的で租税回避的な対策に対しては効果がなくなりましたが、長期的な株式保全・承継対策として持株会社対策は現在でも有効な株式対策といえます。
従って、対策の目的・効果をしっかり認識して対応策を検討することが必要です。
持株会社対策を検討する場合、税務上、次の2点からの検討が必要です。
2-1.持株会社での税務上の効果をどこに求めるか?
持株会社に移転した場合の相続税軽減効果を判断し、株式移転に伴うコスト等と比較することが必要となります。
持株会社の相続税軽減効果は持株会社の形態によっても異なります。
相続対策の目的に沿って、持株会社の形態を選択し効果の算定をすることが必要です。
2-2.持株会社への株式移転をどのように行うか?
株式移転の方法には、譲渡・増資・現物出資・転換社債等の引受け等が考えられます。
しかし、株式移転には通常相当の資金が必要となり、持株会社での取得資金の問題、譲渡に伴う譲渡益課税の問題が支障となることがあります。