2015.07.10
カテゴリ:相続・事業承継
老人ホームの小規模宅地等の特例と相続税対策
従前は老人ホームに入所している小規模宅地等の特例の適用のハードルが高かったのですが、改正により適用しやすくなりました。
目次
1.老人ホームと小規模宅地等の特例
従前の自宅があり、老人ホームに入所した場合、本来の自宅敷地については原則小規模宅地等の特例の適用を受けることができませんでした。
なぜなら、老人ホームに住んでいることとなり、小規模宅地等の特例のうち、居住用宅地の8割減額については、住んでいるところしか適用がないからです。
従前は、下記4つの要件を満たしている場合、小規模宅地等の特例の適用を受けることが出来ました。
小規模宅地等の適用要件
- 介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること
- 被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと
- 入所後あらたにその建物を、他の者の居住の用、その他の用に供していた事実がないこと
- その老人ホームは、被相続人等によって所有権あるいは終身利用権が取得されたものでないこと
2.改正された老人ホームの小規模宅地等の減額特例
平成26年1月1日以後開始相続では、下記の要件を満たせば小規模宅地等の特例の適用を受けることができることとなりました。
- 介護が必要なため入所したこと
- 貸付等に供されていないこと
3.相続税対策で有効な方法とは
相続税対策として有効な方法としては、贈与と信託というものが考えられます。
贈与税の税率が平成27年から変更されており、直系尊属からの贈与の税率が下がることとなりました。これは是非活用したいところです。
直系尊属というのは、父母や祖父母等ということです。
一番簡単なのは、贈与税の配偶者控除という制度です。
適用要件は、婚姻期間が20年以上という要件のみなので、非常にハードルが低く、使いやすい贈与税の制度といえます。居住用不動産2,000万円までは贈与税が非課税になるというものです。教育資金贈与などと組み合わせると数千万円を贈与することができてしまいます。
基礎控除110万円と合わせると、2,110万円控除することができます。
配偶者への贈与の注意点は下記のとおりです。
- 同一の配偶者からは一生に一度しか適用できません。2000万円の枠を使い切れず、控除不足があったとしても2度使うことはできません。
- 婚姻期間は入籍の日で判定することとなりますので、籍を入れていない内縁関係であるとか、同棲していたというような場合は適用できません。
- 将来の売却まで考えて、建物も必ず一部贈与をしましょう。土地のみの贈与は避けるようにします。居住用財産を売却すると3,000万円の特例がありますがこの特例は「建物」についての特例ですので、建物も保有していたほうが何かと有利なのです。
関連があるこちらのページも御覧ください。