相続税法の建物評価の問題点

相続税法の建物評価の問題点
相続税法上の評価額というのは、死亡時の時価ということになっており、建物は固定資産税評価額により評価することになっています。

目次

1.建物の相続税法の時価とは

相続税法上の評価額というのは、死亡時の時価ということになっています。

建物の相続税法の評価額というのは、固定資産税評価額をそのまま使うということになっています。

固定資産税評価額自体が建築価格と比較してどうかというと、鉄骨・鉄筋などで建築価格の7~8割ほど、木造系だと50%以上となることはまずありません(35%~45%ほど)ので、評価上は優遇されているといえます。このことから、相続税の節税をしやすいとされています。

さらに、建物を賃貸していると、固定資産税評価額の70%となります。3割部分については借家権の部分であり、借家権を控除して評価するということになっています。

鉄骨・鉄筋系の固定資産税評価額が建築価格の7割だったとすると、

建築価格×70%×70%

となるわけで、建築価格の49%まで下げられるわけです。このことから、建物の相続税評価額というのは非常に優遇されているのです。



2.固定資産税の建物評価の考え方

固定資産税の建物評価は、再建築価額(今建築するといくらくらいになるのか)から経過年数による減価を控除した方法によります。

構造や用途が同じ建物であれば、どの場所に建築されていても評価額は同じはずですが、建物の物理的な価値に課税するという考え方なので、銀座に建築されている建物と地方都市の駅前にある建物で同じ建物であったとしても、そこからあがる収益には圧倒的な差があるわけです。しかし、相続税はその点には着目しません。

収益力に差があったとしても同じ評価しかしません。なぜこのような評価になるかというと、個別に建物を評価することが税務署にはできないからです。

ですから、借用概念で割りきって評価しているということになるのです。

納税者からみれば、固定資産税評価額を借用して評価できるということは非常に有利なことです。特に有利なのが、建物のなかでもマンション、特に分譲マンションです。

マンションの評価というのは、1つのものであるにもかかわらず、土地と建物を別のものであるかのように考えて評価します。

土地については敷地全体の評価額を算定してから、各人の持ち分割合を乗じます。

建物については、固定資産税評価額となり、そのまま借用することになり、貸家であれば、7掛けの評価となります。

分譲マンションであれば、土地は所有権なのですが、敷地権という考え方により登記されています。(建物の謄本を取得しないと、どのくらい敷地権割合を所有しているのかわかりません。)

敷地権とは土地と建物は別々に区分して売買はできませんというものです。土地全体を所有者全員で共有したうえで、持ち分をもっているというだけに過ぎず、土地と建物は切り離しができません。

切り離しができないにもかかわらず、相続税評価では土地と建物を切り離して別々に評価します。

同じ間取りのマンションだと、低層階より最上階が絶対に価格が高くなっていますが、相続税評価額は同じになります。時価が全く違うのにもかかわらず。この評価額のしくみを利用して上手に節税しましょう。

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