自社株を社員持株会へ売却し、相続財産を減少させる
オーナー個人の所有する自社株の一部を社員持株会に譲渡することにより株式数を減少させ、相続税課税財産を減少させることができます。
目次
1.社員持株会への売却
オーナー会社における事業承継の重要な要素の一つとして、経営支配権の問題というものがあります。
オーナー一族での会社支配の功罪というものはあると思いますが、同族会社での株式分散による多数株主の存在のほうがもともと経営基盤の弱い非公開会社の中小会社においては問題が大きいといえるでしょう。
したがって、オーナー一族で最低保有株式数50%以上、できれば株主総会の特別決議に必要な持株数2/3(66.67%)以上が望ましいです。
2.社員持株会への売却株数
社員持株会に議決権のある普通株を所有させる場合の社長の株式売却数は、発行株式数の20%(12,000株)の範囲にします。
オーナー社長が発行済株式数80%を所有し、社長の妻が10%所有している場合、この譲渡によりオーナーの持株割合60%と妻の持株割合10%で合計持株割合は70%になります。
3.議決権制限株式に転換する
社員持株会に株主総会での主要な決議に参加できない議決権制限株式(無議決権株式等)に転換してから所有させる場合、オーナー社長の株式の譲渡は50%まで可能ですから、その範囲で減らしたい自社株式財産額によって決定することになります。
4.社員持株会への売却価額
社員持株会の社員株主への売却価額は、同族株主以外ですから、例外的な評価方式である配当還元価額以上であれば贈与税の課税はありません。
ただし、1株当たりの売却価額が配当還元価額以下であっても、社員1人当たりの贈与額が非課税範囲の110万円以内であれば贈与税は課税されないことになりますので、あえて配当還元価額以下で売却するということもご検討ください。
5.増資により新株発行後社員持株会へ譲渡する
増資による新株を発行して社員持株会に譲渡する場合は、1株当たりの株式評価額を引き下げるとともに、社長所有の株式の評価減を図る方法になりますが、効果は所有株式を直接放出するほうが大きくなりますので、どちらがより望んでいる結果になるのかシミュレーションしてから実行するようにしましょう。
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