不動産オーナーの会社活用のデメリット

個人事業で不動産所得がある方は、会社を活用することにより様々なメリットを受けられますが、様々なデメリットもありますので、よく理解したうえで会社を活用しましょう。
不動産オーナーの会社活用のデメリット

目次

1.会社設立費用がかかる

会社を設立する場合には登録免許税や司法書士への報酬等の設立費用がかかります。

大まかな目安は株式会社で25~30 万円程度、合同会社で10~20 万円となります。なお、この設立費用は会社の損金となりますが、必ずかかってしまう費用です。


2.所得計算が煩雑になる

個人の不動産オーナーが会社を設立した場合、不動産の収益や役員給与について、個人所得と法人所得とに区分して計算する必要があり所得計算が煩雑となります。

また、会社は法人税の申告をする必要があり、その分手続きがかなり増えてしまいます。


3.必ず税金がかかる

個人の場合、赤字だと税金はかかりません。

しかし、法人の場合には赤字(欠損)であっても最低限の税負担(地方税の均等割)として年間で7万円は必要となります。個人にも均等割はありますが、個人よりも法人の方が金額は大きくなります。


4.不動産オーナー個人の可処分所得は減少する

不動産オーナーが会社を設立し、個人所有の不動産を法人に移す場合、不動産オーナー個人に集中している所得を会社に移転(分散)しますので、個人と会社を合わせた税金は移転前より少なくなります。

しかし、その見返りで不動産オーナー個人の可処分所得は減少します。

税金が減るということと不動産オーナー個人の可処分所得が減るということは表と裏の関係なのです。


5.短期間で不動産オーナー(地主)に相続が発生した場合、相続税計算では不利になる場合も

一般的な相続税対策として、個人が銀行借入で資金調達し収益建物(例えば賃貸マンション)を建築するという方法があります。

これは、建物の相続税評価額が固定資産税評価額で、債務控除となる借入金額はその借入残高のままであるため、そこに評価差額が生じて相続税対策になるというものです。

この相続税対策スキームは、建物建築後、短期間で不動産オーナー(地主)に相続が発生した場合には、固定資産税評価額と借入金額の差額が大きいため、効果が大きくなります。

建物建築後、時間が経つと借入金の返済が進むとともに家賃収入により預金残高が増えるので、長期間経過するとその効果は薄くなります。

したがって、不動産オーナーが高齢の場合で相続税対策を優先的に実行するには向いています。ただし、あまりにも高齢だと借入ができないことがあります。

注意して頂きたいのは、この収益建物建築を会社が借り入れて行った場合には上記のような即効性のある不動産オーナーの相続税対策にはならないということです。

銀行借入れで収益建物を建築する場合、その目的は何かを明確にした上で建物と借入金の名義人を決める必要があります。


6.相続発生時の土地評価について、貸家建付地の評価減の適用ができなくなる

相続発生時に個人所有の土地の上に賃貸建物(貸家)が建っている場合、その土地は「貸家建付地の評価減」の適用を受けることができます。

評価減割合「借地権割合×借家権割合」で計算され、例えば、該当地の借地権割合が70%であれば土地の評価は更地に比べ21%(借地権割合70%×借家権割合30%)の評価減がされます。

しかし、賃貸建物(貸家)の名義人が会社の場合にはこの貸家建付地の評価減の適用を受けることができません。

ただし、実務上は、個人所有の土地の上に会社名義の賃貸建物(貸家)を建てる場合には、所有型法人と不動産オーナー(地主)で賃貸借契約を結び、借地権が異動しないよう「土地の無償返還に関する届出書」を提出します。この届出書の提出により不動産オーナー(地主)の相続時の土地評価は20%の評価減の適用が受けられます。

建物の名義人が個人であれ会社であれ実質的な評価減割合はほとんど変わりません。


7.建物の評価額が建築価額となることがある

所有型法人の株価を純資産価額方式で算定する場合、建築後3年以内の建物の評価額は建築価額となります。

これは、会社の場合「取得後3年間は通常の取引価額で評価する」とされているためです。なお、3年経過後の建物の評価額は「固定資産税評価額」となりますので、評価額は下がります。


8.会社の建物を役員社宅として使用した場合には会社に対し賃料を支払う

所有型法人の持つ建物の一部を役員社宅にして同族会社の役員等が居住する場合があります。

この場合には、会社に対し家賃の支払が必要となります。

ただし、税務上、この場合の家賃は通常の家賃(他人に貸す場合の家賃)より低くすることができます。

役員社宅については、役員から徴収した家賃が次の計算式で計算した(税務上の)適正家賃に満たなければ、その差額が経済的利益として役員の給与として課税されます。


9.社会保険の加入義務

会社は、原則として、法律の定めにより社会保険(健康保険、厚生年金保険、労働保険など)に加入する義務があります。それぞれの社会保険で加入条件等が法律により定められています。


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