不動産オーナーの会社活用の11のメリット

個人事業で不動産所得がある方は、会社を活用することにより様々なメリットを受けられます。
不動産オーナーの会社活用の11のメリット

目次

1.個人(超過累進税率)と法人(比例税率)の税率差が活用できる

個人が不動産を所有してこれを賃貸した場合、その賃貸収益から生じる所得は不動産所得とされ所有者である個人に帰属します。

不動産所得は、所得税や個人住民税の計算では給与所得などと合算した総合課税とされ、超過累進税率が適用されてしまいます。
超過累進税率は、所得が上がれば上がるほど税率が上がる仕組みです。

超過累進税率は、所得税と個人住民税を合算すると6段階で、最低15%(所得税5 %、個人住民税は道府県民税4%、市町村民税6%の合計10%)から最高50%(所得税40%、個人住民税10%)となっています。

超過累進税率では個人の課税所得金額が増えれば増えるほど、税負担が増加します。

たとえば、課税所得金額が1,000 万円の場合の税金は276 万4,000 円ですが、5,000万円になると2,220 万4,000 円となります。課税所得金額は5倍ですが,税金は8倍となってしまうわけです。

超過累進税率は所得が高くなれば税率が高くなってしまうため、賃貸により高収益を生み出す収益性の高い不動産を親単独で所有している要な場合には、こどもにも所有させ、親子で共有名義にするなどして所得の分散をすると効果的な節税が期待できます。

しかし、個人間でいくら分散しても、個人に適用される超過累進税率の適用を受けることに変わりありません。

そこで検討したいのが、収益性の高い不動産から発生する個人所得を会社のもちものとし、会社の所得に移転させてしまう方法です。

会社に移転する所得部分(個人所得の減少部分)の超過累進税率は、高い方から減少するため節税効果は大きくなります。

会社に移転した所得金額には法人税及び地方税の税率が適用されますが、これは基本的に比例税率となっており、個人で適用されるような所得が上がれば税率が上がるという超過累進税率ではありません。

そのため、課税所得金額の増加により急激に税金が増加することがないわけです。

個人に対する超過累進税率と会社に対する法人税等の税率(比例税率)には差があり、個人に対する課税所得金額が一定額に達すると、超過累進税率より会社に対する税率の方が低くなります。

したがって不動産オーナー(個人)の不動産所得の金額が多ければ多いほど、会社を活用(会社への所得移転)することにより、税金の軽減額は大きくなるのです。

また、資本金1億円以下の会社は、特定同族会社の留保金課税という重課の規定も適用がされないため有利となります。したがって、通常は、不動産オーナー(個人)が同族会社に所得移転するスキームの場合、会社の資本金は特別の事情がない限りは、1億円以下で設立して頂いております。


2.役員給与を通じて所得分散ができる

会社の役員には不動産オーナー自身のほか、不動産オーナーの同族関係者(配偶者や子など)が就任しますが、これら役員に対し、会社から適正な範囲で役員給与の支給をすることができます。不動産オーナーを役員としなくても構いません。

配偶者や子に適正な範囲内で給与を支払うことにより所得分散がされ、個人の超過累進税率を緩和させることができます。したがって、役員の数は多ければ多いほど税金の額は少なくなるというわけです。もちろん、勤務実態がなければ給与は認められませんので、ご注意ください。


3.役員給与に対する給与所得控除(概算経費)の適用

一般的な給与や役員給与については給与所得控除(給与に対する概算の必要経費)の適用が受けられます。

例えば、月額給与50 万円の役員は年間で600万円の役員給与を得ますが、これに対する給与所得控除額は174 万円(給与収入の29%)です。

この174 万円は年収600万円の役員の給与所得に対する概算の必要経費として所得税法上認められています。

これは実質的な非課税枠なわけで、役員が2人いて、2人目の役員は年間240万円の役員給与であれば、個別にこの役員は給与所
得控除額90万円(給与収入の37.5%)の適用を受けることができ、2人の役員合計で給与所得控除額の総額は264 万円となります。

所得の種類を不動産所得から給与所得に変えるだけで、税金が減るのです。


4.相続財産の増加の防止を図ることができる

個人の不動産オーナーに入るべき不動産所得を会社へ分散することにより、個人の金融資産の増加を防止することができます。

財産は増えれば増えるほどいいのではないかと思うかもしれませんが、財産が増えると相続税が増えてしまうので、不動産所得を法人に帰属させることにより、将来の相続税が軽減されます。

また、役員給与の支給を受けた役員(通常は不動産オーナーの子が就任。)は、可処分所得が増加します。それを預貯金等でプールすることにより、将来、不動産オーナーに相続が起こった場合の相続税の納税に備えることができます。


5.会社の株式等を後継者が所有し、相続税対策とする

個人の不動産オーナーに入るべき不動産所得を会社へ分散することにより、会社の財産は当然に増加します。

この会社の財産は、その会社の株価の上昇ということになり、結果株主等に帰属することになります。

したがって、株式等の所有は不動産オーナーではなく、それより下の世代の親族(たとえば子)にすることが望ましいといえます。

会社の株式等の名義が不動産オーナーである場合には、株価が低いうちに後継者に株式等を贈与することも効果的です。

また、会社が借入金で建物を新築した場合は、建築後3年間は建物は建築価額で評価されますが、建築後3年経過すれば建物の評価額は固定資産税評価額の5~6割程度で評価できるようになるため、会社の株価評価が下がることになります。

そのタイミングで株式等を子に贈与するのもおすすめです。


6.利益繰延型の生命保険に加入し、将来の大規模修繕や退職金に備えることができる

将来の大規模修繕に備えるための積立金を毎月経費化して積立てしたいという要望はよくお伺いします。

税金計算上、個人であれ会社であれ、将来の大規模修繕に備えるための積立金を預金として積立てた場合、これを損金として経費化処理することはできません。

ただし、会社の場合、会社を契約者(保険料負担者)、役員を被保険者とする利益繰延型の生命保険に加入し、将来の大規模修繕に備えることができるプランを導入することが可能です。


7.無償返還届出書の提出により、土地の相続税評価額を減額できる

所有型法人と不動産オーナー(地主)の貸借契約は、賃貸借契約とし、借地権が異動しないよう「土地の無償返還に関する届出書」を提出しますが、これにより不動産オーナー(地主)の相続時に土地評価の際20%の評価減の適用が受けることができます。

無償返還届出書


8.小規模宅地等の減額特例の適用

建物の敷地の相続税評価額計算に際して、選択により、小規模宅地等の減額特例の適用(200mまで50%評価減)を受けることが可能です。

都内の路線価が高い地域でしたら、非常に節税額が大きくなります。


9.自己の居住用スペースを社宅扱いに

物件を所有するタイプの法人の場合、賃貸用建物を会社名義で建設することにより、自己居住用スペースを役員社宅とすることが可能となります。

社宅部分の固定資産税・減価償却費・損害保険料・借入金利息・通常必要な修繕費などが経費として計上できるようになります。


10. 消費税の還付を受けられる可能性があります

不動産賃貸業を営む事業者が新築でテナントビルを取得した場合で、仮受消費税より仮払消費税が多くなると消費税の還付が受けられます。

しかし、免税事業者や簡易課税を選択している場合には消費税の還付は受けることができません。


11.会社所有の建物については、相続登記不要

不動産オーナーが個人で所有している建物については、相続の際に名義変更が必要となり、登録免許税や司法書士の報酬等が必要となります。

これに対し、会社所有の建物については、所有者が変わっていないので登録免許税等の負担は不要です。

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