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貿易取引における税関への輸出申告について

税関への輸出申告について解説いたします。

目次



1.税関とは

税関とは、「通関」や「関税」の仕事をする役所のことであり、輸出入をチェックする機関です。全国9つの地域に分けて管轄しており、港や空港に事務所があります。

税関の仕事は通関の審査と関税の徴収がおもな仕事です。

1.通関の審査
輸出入される商品が、さまざまな法律などに違反していないか審査します。まず書類審査をして、必要があるようなら現物検査も行います。

2.関税の徴収
輸入される商品にかかる関税や消費税を徴収します。港に入る貿易船にかかる「とん税」なども徴収します。

3.密輸の取り締まり
麻薬やけん銃などが密輸されないよう見張ります。

4.保税地域の管理
関税を納めずに商品の積み下ろしや保管などができる「保税地域」を管理します。


2.税関への代理申告

税関への輸出申告は輸出者自ら行うこともできますが、一般的には通関業者に申告業務を委託します。

通関業者は通関業法にもとづいて各営業所に通関士を配置しています。多くの通関業者は海貨業者も兼務しており、同一業者に船積準備と通関をまとめて依頼することができます。


3.船積依頼書

輸出者が海貨・通関業者宛に出す業務指示書を船積依頼書と呼び、通関と船積みを的確に行うための情報を伝えます。

船積依頼書には、契約に関する情報(輸出者、輸入者、商品名、数量、重量、価格、取引条件など)、船積みに関する情報(船積予定本船、船積港、船積予定日、貨物の搬入場所など)、書類作成に関する情報(船荷証券上の記載事項、受荷主、NotifyParty、運賃記載がFreightPrepaidかFreightCollectか)などの指示事項を記載します。

輸出者は、船積依頼書とともにインボイス、パッキングリスト、輸出規制品目の場合には関係省庁より取得した輸出承認証(E/L)など、輸出通関に必要な書類を海貨・通関業者に送付します。


4.保税地域とは

保税地域は、外国貨物の積卸し、運搬、蔵置、加工・製造、展示などを税関の監督のもとで行う場所で、指定保税地域、保税蔵置場、保税工場、保税展示場、総合保税地域の5種類があります。輸出においては、従来は税関への輸出申告は保税地域に貨物を搬入した後に行うことが原則とされていましたが、法改正により輸出申告を、適正通関を確保しつつ、保税地域への搬入前に行うことが可能となりました。ただし、税関の輸出許可は、貨物を保税地域に搬入した後に行われます。


5.税関審査と許可

税関は輸出申告を以下の3区分に振り分けます。
・区分1 簡易審査書類審査や現物検査なしで即時に許可
・区分2 書類審査関連書類を税関に提出し、審査後許可
・区分3 現物検査現物を検査後許可

いずれの場合でも、船積みは輸出許可取得後の実施となります。また、輸出許可を得た貨物は外国貨物となりますので、何らかの事情で船積みを中止し国内に戻す場合には輸入手続きが必要となります。


6.輸出許可後の書類の保存

輸出許可を取得し船積みを行った後、輸出者はインボイス、パッキングリスト、船荷証券のコピーなど通関や船積に関する書類を整えておき、税関からの求めがあれば提出します。

関税法において、輸出許可貨物に関わる帳簿(品名、数量価格、仕向人の名称、輸出許可年月日、許可番号等を記載)の備付けと書類(インボイス等)の保存義務は5年間と規定されています。また、取引の関係書類を電子メールでやりとりした場合には、そのメールなどを輸出許可日の翌日から5年間保存することが義務付けられています。

税務の保存期間と関税法が求める保存期間が異なりますので、保存期間は税務上求められる保存期間とするよう当事務所ではお願いしております。

平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度においては、帳簿書類の保存期間が9年間に延長されました。

また、平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年間に延長されていますのでご注意ください。

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Tag: 通関のしくみ

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