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貿易における定期船と不定期船の運賃について

貿易における定期船と不定期船の運賃について解説いたします。

目次



1.貿易における定期船の運賃の決め方

定期船の運賃は「海軍同盟」によってきめられています。定期船の運賃は、同じルートなら船会社が違ってもほぼ決まっています。これは同じ航路に定期船を持つ多くの船会社が、「価格競争を避けるため、同じ運賃に」という「海運同盟」を結んでいるためです。

海運同盟は、定期船の運賃やスケジュールなどを決める国際的なカルテル(企業連合)であり世界各地の定期航路ごとに結ばれており、現在、数は約200とされています。

2.貿易における定期船の運賃

定期船の運賃は「タリフ」と呼ばれ、基本運賃と割増運賃の合計になります。


2-1.基本運賃

商品によって「重量建て」や「従価建て」など、運賃の決め方が定められている「品目別運賃」と、コンテナ単位で運賃を決める「品目無差別運賃」があります。


2-2.割増運賃(サーチャージ)

燃料の高騰など、運賃に大きな影響を与えるようなことが起きた時に、割増料金として取られます。


3.同盟船だけの割引制度

海運同盟は基本運賃を決めていますが、「盟外船」に対抗するために次のような割引制度があります。海運同盟に加盟している定期船を「同盟船」といい、加盟していない定期船を「盟外船」、または「非同盟船」といいます。

1.二重運賃制
同盟船だけを使う荷主には安い運賃を提供し、それ以外の荷主からはより高い運賃を取る制度。

2.運賃割戻制
一定の期間、同盟船だけを使った荷主に運賃の一部を払い戻す制度。


4.競争にさらされる海運同盟

いまアジア系の船会社が盟外船として安い運賃で運航するなど、競争が激しくなっているため、同盟のつながりは弱まっています。またアメリカの「改正海運法」では海運同盟の規制が認められにくくなり、多くの同盟が弱体化しました。


5.不定期船の運賃

貸切の船である不定期船には、船会社が決めるタリフ(運賃)といったものがありません。定期船のような海運同盟もなく、荷主と船会社の交渉で運賃が決まります。

不定期船の場合、貿易取引の交渉と同じで、まったくの自由競争です。
ただし、船の大きさや航路などによって相場があるので、荷主と船会社はそれをもとに交渉することになります。また、運賃はその時点での不定期船の需要と供給で決まってくるため、国際的な景気に左右されます。

不定期船の運賃の、一つの目安が「バルチック海運指数」です。ロンドンのバルチック海運取引所が海運会社などから不定期船の運賃を聞き取り発表しているもので、国際的な指標となっています。ただしあくまでも指数であり、実際の運賃とは異なります。


6.荷役費用についての4条件

不定期船の運賃は、貨物の積み下ろしなどにかかる費用をどちらが負担するかで変わってきます。荷主と船会社が交渉のうえ、次の4条件のどれにするかを決めます。

1.バースターム(BerthTerm)
輸出港での船積み費用と輸入港での陸揚げ費用の両方を、船会社が負担する条件。

2 . FIO ( F r e e l n a n d O u t )
船積み費用と陸揚げ費用の両方を、荷主が負担する条件。

3 . F I ( F r e e l n )
船積み費用を荷主が負担し、陸揚げ費用を船会社が負担する条件。

4 . F O ( F r e e O u t )
船積み費用を船会社が負担し、陸揚げ費用を荷主が負担する条件。

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