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臨時所得を平均課税で計算する 個人事業の申告・納税の節税


【目次】

1.臨時所得を平均課税で計算する

所得税は超過累進税率となっているため、特定の年だけ多額の所得があると、毎年同じくらいの所得がある場合と比べると税負担が大きくなってしまいます。

そのため、収入に波があるような一定の所得については、原則通りの税額の計算ではなく、平均課税といってそれよりも有利となる税額の計算のしかたがあります。

この平均課税が適用される所得には変動所得と臨時所得があります。

〈変動所得〉

①漁、獲若しくはのりの採取から生ずる所得
②はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝若しくは真珠(真珠貝を含む)の養殖から生ずる所得
③原稿若しくは作曲の報酬に係る所得
④著作権の使用料にかかる所得

  • (注)1.「漁獲」とは、水産動物を捕獲することをいいます。のりを除くこんぶ、わかめ、てんぐさ等の水産植物の採取又はこい等の水産動物の養殖は含まれません。
  • (注)2.「漁獲」、「採取」、「養殖」から生ずる所得とは、自己が捕獲、採取、養殖した水産動物又はのりをそのまま販売することにより生ずる所得をいいますが、切断、乾燥、冷凍、塩蔵等の簡易な加工をして販売することにより生ずる所得も含まれることとされています。
  • (注)3. 「著作権の使用料に係る所得」とは、著作権者自らが著作権を他人に使用させることにより受ける対価に限定していることから、著作権者以外の者が著作権者のために著作物の利用に関する代理若しくは媒介、管理することにより受ける対価に係る所得は含まれません。

〈臨時所得〉

①職業野球選手等が、特定の者と3年以上の期間の専属契約を結ぶことにより一時に受ける契約金で、その金額がその契約による報酬の年額の2倍以上であるものに係る所得

②不動産やその上に存する権利、船舶、航空機、採石権、鉱業権、漁業権、工業所有権その他の技術に関する権利等を、 3年以上の期間他人に使用させることにより一時に受ける権利金や頭金等で、その金額がその契約による使用料の年額の2倍以上であるものに係る所得(i谿度所得となるものは除かれます。)

③一定の場所における業務の全部又は一部を休止し、転換し又は廃止することにより、 3年以上の期間の収益等の補償として受ける補償金に係る所得

④業務の用に供する資産の全部又は一部につき鉱害その他の災害で被害を受けたことにより、 3年以上の期間の収益等の補償として受ける補償金に係る所得

ただし、変動所得または臨時所得に該当すれば、すべて平均課税が適されるというわけではありまん。平均課税が適用されるためには、臨時所得の金額と変動所得の金額の合計額が、その年分の総所得金額の20%以上あることが必要とされます。

平均課税による税額は、調整所得金額と特別所得金額を算出し、それぞれに所得税の税率と平均税率適用して求めた金額を合計することにより計算します。


2.適用要件

①臨時所得のみの場合
臨時所得の金額がその年分の総所得金額の20%以上であること

②変動所得のみの場合
イ 前年以前に変動所得がある場合
その年の変動所得の金額が、前年及び前々年の変動所得金額の合計額の1/2に相当する金額(平均額)を超えている場合

変動所得の金額が総所得金額の20%以上であること

なお、その年の変動所得の金額が平均額に相当する金額以下の場合
は、平均課税の適用はできません

ロ 前年以前に変動所得がない場合

変動所得の金額が総所得金額の20%以上であること

③臨時所得と変動所得を併有している場合

イ 前年以前に変動所得がある場合

(イ)その年の変動所得の金額が、前年及び前々年の変動所得金額の合計額の1/2に相当する金額(平均額)を超えている場合

その年の変動所得と臨時所得の合計額が総所得金額の20%以上で
あること

(ロ)平均額以下である場合
変動所得を加味しないところの臨時所得の金額が総所得金額の20%以上であること
口 前年以前に変動所得がない場合

その年の変動所得と臨時所得の合計額が総所得金額の20%以上であ
ること


3.平均課税による税額の計算方法等

上記要件に該当すれば、次の手順により税額等の計算を行います

①準備計算

イ 課税総所得金額等の計算
課税総所得金額等=総所得金額等-各種所得控除

口 平均課税対象金額の計算

平均課税対象金額とは、変動所得の金額(前年分又は前々年分の変動所得の金額がある場合には、その年分の変動所得の金額が前年分及び前々年分の変動所得の金額の合計額の1/2に相当する金額を超える場合のその超える部分の金額)と臨時所得の金額との合計額をいいます。

ハ 調整所得金額及び特別所得金額の計算

(イ)課税総所得金額が平均課税対象金額を超える場合

  • (課税総所得金額)-(平均課税対象金額)×4/5=A
  • (課税総所得金額)-( A) =B

(ロ)課税総所得金額が平均課税対象金額以下の場合

  • (課税総所得金額) X 1/5 =A
  • (課税総所得金額)-( A) =B

(注) Aは以下、調整所得金額といい、Bは特別所得金額といいます。

②税額の計算

前記の計算により求めた金額を基に、以下の税額計算を行います。

イ 調整所得金額(A)に係る税額計算
調整所得金額を課税総所得金額とみなして、税額表に基づき計算した税額(X)

口 調整所得金額に対する税額割合(平均税率)の計算

調整所得金額の算出税額(X)/調整所得金額(A)=平均税率(Y)

ハ 特別所得金額に対する税額計算

特別所得金額(B)X平均税率(Y)=特別所得の税額(Z)

ニ 算出所得税額の計算

調整所得金額に対する税額と特別所得金額に対する税額を合計します。

(X)+(Z)=算出所得税額

  • (注)1.課税総所得金額及び調整所得金額の1,000円未満の端数はそれぞれ切り捨てたところで税額を算出します
  • (注)2.平均税率を求める際の割合は小数点三位以下を切り捨てます

なお、平均課税の適用を受けるためには、確定申告書に適用を受ける旨の記載と計算明細書の添付が必要です。

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