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横領損失の計上時期【固定資産等の損失】
【目次】
1.横領損失の計上時期
従業員の横領等により損失が生じた場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求権を有することになりますので、その損失額の必要経費算入の時期については、いくつかの考え方があります。
大きく
①横領事実が判明した時に横領額を必要経費に算入し、損害賠償請求権の行使によって取得する金額は別個その金額が確定した時に収入金額に計上するという考え方
②横領損失額が具体的に確定した時、すなわち横領の事実が存在するとともに加害者の未判明・失綜・回復の見込みのない無資力などにより損害賠償請求権の実現が事実上不可能となった時に初めて必要経費に算入できるという考え方
の二つに分けられます。
ところで、所得税法は収入金額や必要経費の計上時期について権利又は債務の確定主義を原則としており、損失額の必要経費算入に当たっても、債務の確定を要件としていると考えられます。
そして、①の考え方のように、横領損失と横領に基づく損害賠償請求権とを別個に観念して、それぞれの計上時期を判定するのは妥当ではないと考えられます。
したがって、単に横領の事実が発覚した、あるいは加害者に返済能力がある場合には、即時に必要経費に算入することは妥当ではありません。
例えば従業員が売上金を着服しており、その従業員が行方不明となってしまい着服された売上金が返還されなかった場合、、従業員が行方不明となっており、損害賠償請求権の実現が事実上不可能であると判断されますので、その横領額は貸倒損失として必要経費に算入することができると考えられます
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