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交通事故による損害賠償金 個人事業の必要経費を利用した節税
【目次】
1.業務の遂行上生じた損害賠償金
業務の遂行上生じた損害賠償金(慰謝料、示談金、見舞金等他人に与えた損害を補てんするために支出する一切の費用を含みます。)は、原則として必要経費に算入されます。
しかし、故意又は重大な過失によって他人の権利を侵害したことにより支払う損害賠償金や家事関連費としての損害賠償金は必要経費に算入されません。
したがって、運送業者を営む個人事業主が配達中に交通事故を起こして損害賠償金を支払ったような場合、その事故が業務遂行の過程において発生したわけですから、事故を起こしたととについて故意又は重大な過失がない場合には、その負担した金額は事業所得の金額の計算上必要経費に算入されます。
なお、他人の権利を侵害したことに「重大な過失」があったかどうかについては、その者の職業、地位、加害当時の周囲の状況、侵害した権利の内容及び取締法規の有無等の具体的な事情を考慮して、その者が払うべきであった注意義務の程度を判定し、不注意の程度が著しいかどうかにより判定するものとし、次に掲げる場合には、特別な事情がない限り、重大な過失があったものとされます。
- 自動車等の運転者が無免許運転、高速度運転、酔払運転、信号無視その他道路交通法第4章第1節(運転者の義務)に定める義務に著しく違反すること又は雇用者が超過積載の指示、整備不良車両の運転の指示その他同章第3節(使用者の義務)に定める義務に著しく違反することにより他人の権利を侵害した場合
- 劇薬又は爆発物等を他の薬品又は物品と誤認して販売したことにより他人の権利を侵害した場合
2.業務の遂行に関連しない事故で支払った損害賠償金
業務を営む者が使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているものの行為に基因する損害賠償金(これに類するもの及びとれらに関連する弁護士の報酬等の費用を含みます。)を負担した場合には、次の取扱いになります。
- その使用人の行為に関し、業務を営む者に故意又は重大な過失がある場合には、その使用人に故意又は重大な過失がないときであっても、その業務に係る所得の金額の計算上必要経費には算入されません。
- その使用人の行為に関し、業務を営む者に故意又は重大な過失がない場合には、その使用人に故意又は重大な過失があったかどうかを問わず、次によります。
- 業務の遂行に関連する行為に基因するものは、その業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入します。
- 業務の遂行に関連しない行為に基因するものは、家族従業員以外の使用人の行為に関し負担したもので、雇用主としての立場上やむを得ず負担したものについては、その業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入し、その他のもの(家族従業員の行為に関し負担したものを含みます。)については必要経費に算入されません。
したがって、従業員が起こした業務の遂行に関連しない事故に基因して事業主が負担する損害賠償金については、使用人が家族従業員ではなく、事業主としての管理上重大な過失がなく、かつ、雇用主としての立場上やむを得ないものであれば、必要経費に算入できますが、事業専従者等の家族従業員の起こした事故については、必要経費には算入できません。
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