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親族へ支払う給与を必要経費に算入する 【個人事業の必要経費を利用した節税】
【目次】
1.親族へ支払う給与を必要経費に算入する
事業主と生計をーにする配偶者その他の親族がその事業主の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合、次のとおり取り扱うこととなっています。
①その対価に相当する金額は、その事業主のその事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
②その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その事業主のその事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
③その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その親族の各種所得の金額の計算上ないものとみなす。
とのように所得税法は、対価の内容について「事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合」と規定し、その内容に関する制限を設けていませんし、また、「親族のその対価に係る各種所得の金額」という表現を用いているとおり、対価の支払を受ける側である生計を一にする親族の所得の種類についても制限を設けていません。
一般的な個人事業の場合、親族に従業員として働いてもらう場合がよくあります。
親族といえども、当然、仕事をしてもらえば給料を支払うことになります。
親族に給料を支払う場合に注意したいことは、「生計を一にする」かどうかによって、税務上の取扱いが大きく異なります。
生計を一にしていない親族に対して支払う給料は必要経費になりますが、生計を一にしている親族に対する給料は原則として必要経費になりません。
たとえば、2人の息子のうち、長男はすでに家を出ており、次男は一緒に生活しているケースを考えてみましょう。
この場合、2人の息子に同じ仕事をしてもらい、同じ給料を支払ったとしても、長男に対する給料は必要経費になりますが、次男に対する給料は必要経費にはなりません。
自分の子供に対して支払った給料でも、生計を一にしていない場合は必要経費に算入できますが、生計を一にしている場合には必要経費にはならないのです。
ただし、例外もあります。
前述したように、青色申告者については、給与の支払いを受ける親族が、青色事業専従者の要件を満たしている場合には、青色事業専従者給与額を必要経費に算入することができます。
ただし、青色事業専従者については、事前の届出が必要ですので、注意が必要です。
白色申告者については、事業専従者の要件を満たしている場合には、事業専従者控除を必要経費に算入することができます。
2.事業専従者控除とは
事業専従者の要件を満たす場合、次の①又は②のいずれか低い方の金額を事業所得の金額の計算上必要経費とみなします。
①事業専従者1人につき、配偶者86万円、配偶者以外の親族50万円
②事業専従者1 人につき、 事業所得等の金額(事業専従者控除前) /事業専従者数+1
(注)事業専従者の要件
次のいずれにも該当する人をいいます。
1 その納税者と生計をーにする配偶者その他の親族であること。
2 その年12月31日現在(事業専従者又は納税者が年の中途で死亡した場合には、それぞれ死亡の時)の年齢が15歳以上であること。
3 その年を通じて6月を超える期間、その納税者の営む事業に専ら従事していること。
ただし、次に該当する人のその該当期間は、たとえ事業に従事していても、専従期間には含まれません。
1 高校、大学などの学生又は生徒である人(昼問営業に従事する人が夜間の授業を受ける場合、夜間営業に従事する人が昼問の授業を受ける場合又は常時修学しない場合などのように事業に専ら従事することが妨げられないと認められる人を除きます。)
2 他に職業のある人(その職業に従事する時間が短いなどの関係で、事業に専ら従事することが妨げられないと認められる人を除きます。)
3 老衰その他心身の障害により事業に従事する能力が著しく阻害されている人
この場合、必要経費となった事業専従者控除の金額は、事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなされます。
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