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事業用資産に係る長期の損害保険料 個人事業の必要経費を利用した節税


【目次】

1.事業用資産に係る長期の損害保険料

店舗併用住宅を対象として10年満期で満期返戻金のある火災保険に加入し、保険料を支払っている場合、業務用の部分に対応する保険料を算出し、積立て以外の部分については事業所得の金額の計算上、必要経費に算入されますが、積立て部分は資産として取り扱われます。

通常の掛け捨ての火災保険料は、支払ったときに、業務用資産に対応する部分についてのみ必要経費に算入されることになりますが、保険期間が3年以上の損害保険契約で、払込保険料の一部又は全部が満期返戻金として契約者に支払われることになっているものは、その支払った保険料全額を支払ったときの必要経費に算入することはできないこととされています。

これは、払込保険料の内容が、満期返戻金の支払に充てられる積立保険料の部分と、掛け捨ての火災保険料の構成要素である危険保険料、付加保険料の部分とからなっているため、前者に対応する部分の金額については保険期間の終了時までは資産として取り扱い、後者に対応する部分の金額については、期間の経過に応じて必要経費に算入するという考え方によるものです。

これにより、資産に計上した部分の金額は、満期払戻金に係る一時所得の金額の計算上「収入を得るために直接要した金額」として控除されることになります。

店舗併用住宅の場合には、まず、その建物の総床面積のうち業務用部分の床面積が占める割合を支払った保険料の額に乗ずることにより、業務用資産に対応する保険料を算出します。

次に、業務用の部分に対応する保険料を、上記の積立部分の金額とその他の部分に区分し、その他の部分については必要経費に算入されますが、積立部分は資産として取り扱われます。

2.賃借建物に係る損害保険料

個人が、自己と生計をーにする親族以外の者から賃借して業務の用に供している建物等(使用人から貸借しているもので、その使用人に使用させているものを除きます。)に係る長期の損害保険契約について保険料を支払っている場合の取扱いは、次のようになります。

2-1.掛け捨ての損害保険の保険料

借家人の支払った保険料は、期間の経過に応じて必要経費となります。

2-2.満期返戻金のある長期損害保険(保険期間が3年以上のものに限ります。)の保険料

①借家人が保険契約者で、家主が被保険者の場合

満期返戻金の請求権は保険契約者である借家人に、損害保険金の請求権は家主にあります。したがって、借家人の支払保険料の額のうち積立保険料部分の金額は資産に計上し、掛け捨て保険料部分の金額は期間の経過に応じて必要経費となります。

一方、家主については、その保険料の額のうち掛け捨て部分の金額が賃貸料収入になりますが、同時に同額が費用となりますので所得は生じません。

②家主が保険契約者で、かつ被保険者の場合

保険料負担者である借家人には、満期返戻金の請求権も損害保険金の請求権もありません。したがって、借家人の支払保険料の額は、賃借料として期間の経過に応じて必要経費となります。

一方家主については、保険料の全額を、不動産所得の総収入金額に算入し、掛け捨て保険料部分の金額を必要経費に算入することになります。

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