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事業主の死亡後に従業員退職金を支払った場合 個人事業の必要経費を利用した節税


【目次】

1.承継人がいない場合に事業主の死亡後に従業員退職金を支払った場合

事業を承継する者がいない場合の事業主の死亡後に支払った従業員に対する退職金は、その事業主の準確定申告における事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できるものと考えられます。

事業所得などを生ずべき事業を廃止した後において、その事業に係る費用又は損失でその事業を廃止しなかったならばその者のその年分以後の各年分の事業所得などの金額の計算上必要経費に算入されるべき金額が生じた場合には、その金額はその者の事業を廃止した日の属する年分又はその前年分の事業所得などの金額の計算上、必要経費に算入されます。

例えば、事業を営んでいた父が死亡し、その父の事業を引き継ぐ者がいないため、従業員を解雇して退職金を支払ったような場合、死亡後速やかに退職金を支給しており、かつ、退職金として妥当な金額であれば、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されると考えられます。

2.承継人がいる場合に事業主の死亡後に従業員退職金を支払った場合

この場合退職金は、亡くなった事業主の事業所得の金額の計算上、必要経費
に算入することは認められません。

必要経費に算入すべき費用は、その年において債務が確定したものとされていますが、納税者が死亡した場合には、その死亡の時までに債務が確定したものに限られます。

例えば、事業を営んでいた父が死亡し、その父の事業を引き継ぐ者がいるにもかかわらず、従業員を一旦解雇して退職金を支払ったような場合、まず、 従業員との雇用契約が事業を営んでいた父の死亡によって終了したかどうかについて検討しますと、原則として雇用契約上の使用者の地位は相続の対象となりますので、その雇用契約は事業を営んでいた父の死亡を原因として当然に終了するものではありません。

したがって、事業を営んでいた父の死亡により使用者たる地位が相続人に相続される場合、その従業員との雇用契約は依然継続され終了することにはなりません。

3.退職金という債務は確定していたか

次に、事業を営んでいた父の死亡時に、従業員に退職金を支払うべき債務が確定していたかどうかですが、従業員との雇用契約は継続され、また、従業員は現在も従来どおり以前の勤務先に勤務を継続している場合、従業員に退職の事実はなく退職金を支払うべき理由がありません。

ですから、その債務が確定したということにはなりません。

また、事業を廃止した後に生じた必要経費についての特例についてですが、事業を営んでいた父の事業は相続人に承継され廃止されていませんので、事業を営んでいた父はこの特例を受ける対象にもなりません。

したがって、この場合の退職金は、事業を営んでいた父の準確定申告における事業所得の必要経費として認められません。

4.退職金を事業を承継した相続人が支給した場合

退職金を事業を承継した相続人が支給した場合には、その退職金相当額は、従業員の退職の事実に基づく支払ではないため、原則として、事業を承継した相続人の事業所得の金額の計算上従業員に対する給与(賞与)として、事業を承継した相続人の必要経費となります。

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