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必要経費になる租税公課のポイント 個人事業の必要経費を利用した節税


【目次】

1.固定資産税等

業務用の土地、家屋その他の物件を課税対象とする固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税、事業所税、自動車取得税、登録免許税等は、その業務に係る所得金額の計算上必要経費に算入します。

ただし、登録免許税のうち特許権、鉱業権のように登録によって権利が発生する資産に係るものは、その資産の取得価額に算入しなければなりませんが、船舶、航空機、自動車のように業務の用に供するために登録を必要とする資産に係るものは、その資産の取得価額に算入するか、その年分の必要経費に算入するかを選択することができます。

  • 業務用以外の土地、建物等に係る登録免許税、不動産取得税等の固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課は、その土地、建物等の取得費に算入します。
  • 固定資産税をその納期前に納付した場合の地方税法の規定(固定資産税に係る納期前の納付の規定)により交付を受ける報奨金は、次のようにその資産の用途の区分に応じ、その交付を受けるべき日の属する年分の各種所得の総収入金額に算入します。
    • 事業用固定資産…事業所得又は不動産所得
    • 事業と称するに至らない業務用固定資産…不動産所得又は雑所得
    • 非業務用固定資産…ー時所得


1-1.未経過固定資産税の取り扱い

土地等を売買する際、売買当事者間において、その土地等に係る固定資産税に相当する金額を、売主買主それぞれの所有期間に応じた負担額を取り決め、金銭の授受を行うことがありますが、固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日に船けるその資産の所有者となりますので、年の中途で土地等の売買があった場合でも、その土地等に係る固定資産税の当年度の納税義務者は売主になります。

したがって、固定資産税相当額として授受された金銭であっても、買主は固定資産税の納税義務者ではないので、この負担額は固定資産税そのものとはならず、所得税基本通達37-5に規定する租税公課等の取扱いはできません。

すなわち、買主の所有期間に応じた固定資産税相当額は、取引日における土地等の譲渡価額算定の一要因であり、これにより授受された金銭は土地等の購入代金の一部として支払うものですので、その負担額については土地等の取得価額に含めることになります。

2.事業廃止年分の事業税の見込控除

事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税は、次の算式により計算した事業税の課税見込額をその廃止した年分の必要経費とすることができます。

(A土B) R÷(1+R)

A・・・事業税の課税見込額を控除する前のその年分の事業に係る所得の金額
B・・・事業税の課税標準の計算上Aに加算し又は減算する金額
R・・・事業税の税率

(注)事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税について上記の取扱いによらない場合には、事業税の賦課決定があった時において、事業を廃止した場合の必要経費の特例及び更正の請求の特例の規定の適用があります。

3.利子税

所得税を延納した場合に納付する利子税は、原則として必要経費に算入することはできませんが、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む人の納付した次の利子税は、それらの事業から生ずべき所得の金額の計算上必要経費に算入します。

確定申告税額の延納について納付した利子税の額のうち、事業から生ずる所得に対応するものの計算は下記のとおりです。

(納付した利子税の額)×
(その利子税の基礎となった年分の確定申告書に記載されている事業所得、不動産貸付業から生じた不動産所得及び林業から生じた山林所得の金額の合計額)÷
その利子税の基礎となった年分の確定申告書に記載されている各種所得の金額の合計額(給与所得及び退職所得の金額を除く。)
=必要経費に算入できる利子税の額

上記算式の「各種所得の金額」とは、黒字の金額をいい、また、長期保有資産に係る譲渡所得の金額又は一時所得の金額については、特別控除額を控除した金額の2分の1に相当する金額をいいます。

また、措置法の適用を受ける長期譲渡所得については、特別控除後の金額によります。

上記算式の納付した利子税の額に乗ずる割合は、少数点以下2位まで算出し、 3位以下を切り上げた割合です。

4.資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入

4-1.控除対象外消費税額等の必要経費算入

不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行う年において、資産に係る控除対象外消費税額等が生じた場合には、一定の方法により、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、その資産に係る控除対象外消費税額等を必要経費に算入します。

(注)1 資産に係る控除対象外消費税額等とは、その年における課税売上割合が95%未満で、かつ税抜経理を適用している消費税の課税事業者(簡易課税の適用者を除きます。)に係る課税仕入れ等の税額のうち、仕入税額の控除ができない金額で資産に係るものをいいます。

2 課税売上割合は、次の算式により算出するとととされています。

その事業者がその年中に国内に船いて行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額÷その事業者がその年中に国内において行った資産の譲渡等の対価の額の合計額=課税売上割合

3 資産に係る控除対象外消費税額等についてこの規定の適用を受ける場合には、その全額について適用しなければなりません。また、 2以上の所得を生ずべき業務について税抜経理方式を適用している場合には、それぞれの業務に係る取引ごとに上記の取扱いが適用されます。

4 「資産」には、固定資産、棚卸資産、山林及び繰延資産が含まれますが、前払費用は含まれません。

4-2.必要経費の金額

資産に係る控除対象外消費税額等は、次により必要経費に算入されます。

(1)資産に係る控除対象外消費税額等が生じた年

イ その年の課税売上割合が80%以上である場合・・・その年において生じた資産に係る控除対象外消費税額等の全額が必要経費に算入されます。

口 その年の課税売上割合が80%未満である場合において、その年に生じた資産に係る控除対象外消費税額等のうち個々の資産(棚卸資産を除きます。)ごとにみて控除対象外消費税額等が20万円未満の金額であるもの及び棚卸資産に係るもの・・・その年において生じたこれらの資産に係る控除対象外消費税額等の全額が必要経費に算入されます。

ハ その年の課税売上割合が80%未満である場合において、上記口により必要経費に算入されなかった資産に係る控除対象外消費税額等(「繰延消費税額等」といいます。) その金額を60で除してその年において業務を行っていた期間の月数を乗じて計算した金額の2分の1に相当する額が必要経費に算入されます。

(2)資産に係る控除対象外消費税額等が生じた年の翌年以後の年

繰延消費税額等を60で除しその年に船いて業務を行っていた期間の月数を乗じて計算した金額(その計算した金額が、その繰延消費税額等のうち既に事業所得等の金額の計算上必要経費に算入された金額以外の金額を超える場合には、その金額)が必要経費に算入されます。

(注)1 月数が1か月に満たない端数が生じたときは、1か月とします。

2 その年の課税売上割合が80%未満である場合において、控除対象外消費税額等のうち資産に係るもの以外のものについても、その年の必要経費に算入されます。

4-3.適用を受けるための手続

この制度の適用を受けようとする場合には、確定申告書に、必要経費に算入する金額についてのその算入に関する記載及びその必要経費に算入する金額の計算に関する明細書の添付をしなければならないこととされています

5.受益者負担金等

土地改良法、道路法、都市計画法、河川法、港湾法、水防法等の規定により賦課される受益者負担金で業務に係るものは、繰延資産に該当する部分の金額又は土地の価額の増加その他改良費に属する部分の金額を除き、その支出する日の属する年分の必要経賓に算入します。

なお、国、地方公共団体、商店街等が行う街路の簡易舗装、街灯等の簡易な施設で主として一般公衆の便益に供されるもののための負担金は、これを繰延資産としないで、その支出した日の属する年分の必要経費に算入することができます。

6.農業協同組合等の賦課金

農業協同組合、水産加工業協同組合、中小企業協同組合、商工会議所、医師会等の組合員又は会員が法令又は定款などの規定に基づき業務に関連して賦課される費用は、繰延資産に該当する部分(例えば会館の建設費等)の金額を除き、その支出する日の属する年分の必要経費に算入します。

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