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棚卸資産の評価により利益を少なくする 個人事業の売上・仕入関係を利用した節税
【目次】
1.棚卸資産の評価により利益を少なくする
決算のために在庫品の数量・価格を調べることを棚卸といい、棚卸をしなければならない資産を棚卸資産といいます。棚卸資産の評価は、事業の種類別に、かつ、棚卸資産の区分ごとに評価することになっています。どのような方法で棚卸評価をするかについては、原則として、あらかじめ税務署長に届出することになっています。
1-1.棚卸資産の範囲
棚卸資産の範囲は次の通りです。
①商品または製品(副産物、作業くずを含みます)
②半製品
③仕掛品(未完成工事を含みます)
④主要原材料
⑤補助原材料その他の棚卸資産
⑥消耗品で貯蔵中のもの
これらの棚卸資産は、原則として12月31日に棚卸を行わなければなりません。
1-2.棚卸資産の評価方法
税法上、棚卸資産の評価方法としては、個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、単純平均法、最終仕入原価法、売価還元法の8種類が認められています。
これらの評価方法のうち、どの方法を選択するかは事業者の自由ですが、選択した方法は税務署長に届出する必要があります。
もし、評価方法を税務署へ届出していない場合は、最終仕入原価法によって評価することになっています。
最終仕入原価法とは、その年の最終の仕入単価によって期末棚卸資産を評価する方法です。最終仕入原価法は、税務上の原則的な評価方法とされていますし、簡単に棚卸資産の評価ができるので、この方法を採用している人が非常に多いです。
最終仕入原価法は、ただ簡単な方法というだけでなく、節税にも利用できます。
売上高に対応する売上原価は、期首商品と当期商品仕入高の合計額から期末商品を差し引いて計算します。
したがって、期末棚卸資産を低く評価すれば、売上高から差し引く売上原価が大きくなって、利益が少なくなるというわけです。
ですから、その年の最終仕入単価をできるだけ引き下げて、最終仕入原価法で評価すれば節税になります。
年末なので特に値引してくれるよう仕入先に依頼するのは、それほど難しいことではないかもしれません。
もちろん、いったん選択した評価方法を変更することもできます。もし、税務署に届出している評価方法が先入先出法などである場合は、最終仕入原価法に変更することも検討してみてください。
2.棚卸資産の評価方法の変更手続き
棚卸資産の評価方法を変更しようとするときは、「棚卸資産の評価方法の変更申請書」を変更しようとする年の3月15日までに税務署長に提出して、承認を受ける必要があります。
この申請書を提出すると、税務署長は、この申請を承認するか却下するかを決定し、書面で通知することになっています。
もし、申請をした年の12月31日までに通知がないときは、承認されたものとみなされます。
なお、現在の評価方法を採用してから3年を経過していないとき、または変更しようとする評価方法では事業所得の金額の計算が適正に行われがたいと認められる場合には承認されないこともあるようです。
3.棚卸資産の評価方法
3-1.原価法
- 個別法…年末棚卸商品の全部について、その個々の仕入価額で評価する方法
- 先入先出法…先に仕入れた商品が先に売り上げられたものとし、最も後から仕入れたものから順に残っているものとして計算する方法
- 後入先出法…先入先出法の反対で後から仕入れた商品が先に売り上げられたものとして計算する方法
- 総平均法…年初の棚卸額とその年中の仕入総額の合計額を、年初の棚卸数量とその年中の仕入数量の合計額で除して、平均単価を算出し、その単価に年末の棚卸しの数量を乗じて計算する方法
- 移動平均法…年の中途で新たに商品を仕入れた都度、その時に残っている商品と新しく仕入れた商品とについての平均単価に改訂されたものとみなして、順次改訂の計算をし、年末に最も近く改訂された平均単価に、棚卸数量を乗じて棚卸高を計算する方法
- 単純平均法…その年中に仕入れた商品に仕入単価の異なるものがあれば、その異なる1単位当たりの仕入価額を合計し、その合計額をその異なる1単位当たりの仕入価額の数で除して計算した価額を年末棚卸商品の1単位当たりの仕入価額にする方法
- 最終仕入原価法…その年12月31日に最も近い日において仕入れた棚卸商品の仕入価額を年末の棚卸商品の単価として計算する方法
- 売価還元法・・・・・・年末における棚卸商品をその種類又は通常の差益率の異なるごとに区別し、その種類又は差益率の同じものについて、その年末の棚卸商品の通常の販売価額の総額に原価率を乗じて評価する方法で、原価がわからない場合に適用されます。
(注)原価法のうち後入先出法及び単純平均法については、平成21年12月31日をもつて除外されました。
3-2.低価法
原価法のうち、あらかじめ選定した方法によって評価した価額と、年末に取得する場合の再取得価額(時価)によって評価した価額を比べて、い
ずれか低い方の価額をもって評価額にする方法
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