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法人設立登記前の損益 法人の設立による節税


【目次】

法人設立前の損益は、設立第1期目の事業年度の損益に含めることもできますが設立登記前の組織体に帰属するのが原則です。

1.法人設立登記前の損益は第1期の損益に含めて申告

会社は、設立登記をすることにより成立します。会社法上、登記をして始めて法人が設立されることになりますので、設立登記前では法人は存在していないこととなります。

税務上、設立後最初の事業年度の開始の日は、法人の設立の日であり会社の設立の日は、その設立登記をした日となります。

法人の設立期間中といっても、水道光熱費であったり家賃などのの経費の支払いは行われますし、営業活動により収益を得ることが当然にあります。そこで、この設立期間中に生じた損益をどのように処理するのか(個人事業に帰属するのか法人に帰属するのか)が問題となります。

設立登記の日から第1期目の事業年度が開始しますので、原則からすれば、設立登記前の損益は、設立登記前の組織体である代表者個人又は人格のない社団等に帰属することになります。

しかし、法人の設立期間は一般的には短期間であり、また、その間の取引金額もそれほど大きくないというのが一般的です。

このような損益を原則通りに設立登記前の組織体が記帳して申告するとなると、手間だけがかかってしまい現実的ではありません。

そこで、法人の設立期間中にその設立中の法人について生じた損益は、その法人の設立後最初の事業年度の所得金額の計算に含めて申告することが認めらています。

記帳や申告の手間を考えれば、設立登記前の損益は、設立第1期目の損益に含めて申告すべきです。

しかし、代表者個人の他の所得と損益通算ができる場合などには、代表者個人で多額の給与所得や他の所得がありその所得と事業所得のマイナス分とを相殺して申告した方が有利なこともありますので、個人で申告した方が手取り額が多くなるのか、法人で申告した方が手取り額が多くなるのかをきっちりシミュレーションした上でで対応していく必要があります。

2.法人の期間が長期にわたる場合及び法人成りの場合

設立登記前の損益は、設立第1期の事業年度の損益に含めて申告することが認められますが、これには 2つの例外があります。

2-1.設立期間が長期にわたる場合

法人を設立するためには、
①発起人が定款を作成し
②これについて公証人の認証を得て
③株主を募集し
④払込期間内に株金の払込が完了した段階で創立総会を開催し
⑤その上で設立登記を行うと

いう手順になりますが、このためにはそれほどの期間を要するわけではありません。

設立登記前の損益を設立後の損益に含めることができるのは、通常は設立期間が短いからです。

したがって、その設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合には、その設立期間中の損益は、原則通り、設立登記前の組織体に帰属することになります。

それが代表者の個人事業と認められる場合には、その代表者個人の損益とし、また、団体としての実体を備えている場合には人格のない社団等の損益として記帳し、申告することになります。

2-2.法人成りの場合

法人成りによる法人の設立については、その前からの個人として個人事業を継続しているという事情がありますので、一般の設立期間中の損益とは取扱いが異なります。

法人が設立されるまでの間の損益は、たとえそれが短い場合であっても、すべて個人事業の損益として取り扱われることになり、法人には損益が帰属しませんので、注意が必要です。

3.設立第1期の期間は設立登記のあった日となる

設立期間中の損益を設立後最初の事業年度の所得計算に含めて申告する場合でも、法人の設立第1期の事業年度開始の日は、その設立登記のあった日であることに変わりはありません。

したがって、例えば、固定資産を設立期間中に取得して事業に使用していたとしても、その償却計算の基礎となる期間は、設立登記の日から事業年度末までの月数で計算します。減価償却費1,000,000円×5月÷12月のような具合に計算することになります。

また、設立期間中に交際費の支出があった場合、交際費の損金算入限度額の計算の基礎となる第1期目の期間は、設立登記の日から計算することになります。

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