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退職後数年経ってからの役員退職金 給料と退職金などによる節税


【目次】

1.3年程度の期間ならば損金算入可能

大手銀行では、公的資金による資本の受け入れがあったときに、役員退職金の支給を凍結しました。

そして、公的資金の返済が完了したり、返済のめどが立った銀行は、当時支給しなかった役員退職金の支給を開始したという報道がありました。

役員の退職時に業績が悪かったことを理由に、支給されなかった役員退職金を、数年たってから業績が回復したことから、定時株主総会で支給することを決議し、実際に支給したら、それを損金算入できるのでしょうか。

役員退職金は、本来は、退職時の定時株主総会等で決議しておくべき性格のものです。

役員の退職時には決めておかないで、その後の定時株主総会等で退職金の支給を決議したときは、無条件に損金算入できるわけにはいかないようです。

このように退職してから支給するまでの期間が長く空く場合には、経過した年月の長さが大きく関係します。

比較的短い期間、おおよそ3年程度であれぱともかくも、あまりに長い期間経っても損金算入できるとなると、会社の利益が多く出そうなときに支給して利益を少なくするということもできます。

このように退職してから支給までの期間が空く場合には、会社の恣意によって行き過ぎた「節税」が行われかねません。

しかし、一方では、役員退職金は在任中の職務の対価という性格があり、会社の規程に従って具体的に金額が算定可能です。

それに、本来は支給されるべきものが、会社の業績悪化のために支給されなかったという背景があるのです。

そのため、相当の期間経過して役員退職金の支給をする場合は、合理的な理由があるかどうかが、損金算入の要件となります。

2.株主総会で役員退職金の支給を決議しておく

役員退職金を支給する考えがあるのであれば、業績に関係なく、定時株主総会で議案に取り上げ、支給決議をしておくことが絶対条件です。退職時に議案に取り上げることなく、長い期間が経過してから、支給時にのみ議案に取り上げ支給するというようなことは認められません。

そのうえで、支給額と支給時期は取締役会で決議するとしておけば、損金算入することができます。

銀行だけでなく、上場企業などでは、業績が悪くても定時株主総会等で役員退職金の支給決議をしておき、支給額と支給時期については取締役一任を取り付けておくのが普通です。

これは税務対策でもあるのです。

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