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執行役員制度 給料と退職金などによる節税


【目次】

1.執行役員制度とは

近年、執行役員制度を導入する経営機構の刷新を実施する企業が増えてきているようです。

執行役員制度は、経営の意思決定を行う取締役及び取締役会と、業務執行を行う代表取締役及びその業務執行を補佐する執行役員を峻別し、取締役会の意思決定を迅速化し、専任の業務執行責任者を置くことにより経営の効率化を実現しようというものです。

執行役員制度では、取締役会が経営の意思決定権及びこれによる業務執行についての監督権を有し、代表取締役が業務執行を行い、執行役員が代表取締役を補佐して業務執行を担当し、取締役会がこれを監督するというしくみになっています。

執行役員制度は、本来、取締役の数を削減することにより取締役会の意思決定の迅速化を図る等の経営の効率化を目的とするものですが、これが企業の税務対策にも利用できるかどうか、検討しておく必要があります

なお、執行役員に関する直接的な法律の規定はありませんので、法人と執行役員との関係は、両者の契約関係によって決定されることになります。

また、執行役員制度を巡る税務上の取扱いにっいても、現在のところ国税当局からの明解な指針は公表されておりません。(会社法上の執行役とは異なります。)

2.執行役員は税法上の役員に該当するか

執行役員も役員という名称であり、執行役員の肩書きとして「常務」、「上席常務」、「専務」などを使っていることもあります。

そこで執行役員(取締役を兼務する者を除く。)が、税法上の役員に該当するのか否かが問題となります。

法人税法では、役員の範囲を明確にし、次の者を役員と定義しています。

  • 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人
  • 使用人以外の者で、その会社の経営に従事しているもの
  • 同族会社の使用人のうち、次の(1)から(3)のすべての条件を満たし、その会社の経営に従事しているもの
    (1)所有割合が50%に達するまでの上位3 グループの株主グループに属していること
    (2)その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること
    (3)その使用人の所有割合(配偶者及びこれらの者の持株割合が50%以上である他の会社を含む)が5%を超えていること

(1)の執行役ですが、後述の通り、これは会社法上の委員会設置会社に設ける機関のことで、執行役員制度における業務「執行役員」とは異なります。

また、執行役以外の役員に該当するかどうかについては、取締役は株主総会で選任されますが、この執行役員は、株主総会ではなく取締役会で選任されることになりますので、取締役には該当しません。

したがって執行役員は役員といっても、会社法上の取締役でない以上は使用人に過ぎません。

次に、(2)には、例えば、顧問、相談役その他これらに類する者で、その法人内における地位、その行う職務等からみて、他の役員と同様に法人の経営に従事している者が含まれます。

これを執行役員についてみると、執行役員は、取締役ではないので、取締役会での議決権はありません。

そのため業務執行の意思決定権を持たず、代表取締役の命令に服して業務執行を担当しているに過ぎません。

したがって、「経営に従事している」とはいえませんので、みなし役員には該当しないことになります。

また、(3)は同族会社に適用されるものです。

執行役員はたとえ同族会社の特定株主等に該当するとしても、代表取締役の命令に服して業務執行を担当している限り、「経営に従事している」わけではありませんので、みなし役員とはされません。

つまり、執行役員は、役員という肩書きになっていても、税法上の役員ではない使用人という地位に過ぎません。

執行役員は、税法上の役員には該当しませんので、執行役員に支給する賞与は、使用人に対する賞与としてその全額が損金に算入されることになります。

3.執行役員の適用上の留意点

執行役員は、その本来の職務と権限からすれば、原則としてみなし役員には該当しません。

しかし、その職務と権限を超えて、経営に従事していると認められる場合には、その呼称や取締役として選任されていないという事実にかかわらず、みなし役員に該当することになるものと考えられます。

執行役員がみなし役員と認定されると、定期同額給与以外は損金不算入となりますので注意が必要です。

4.執行役員と執行役

「執行役員」は、法律により規定された制度ではなく、税務上、原則として役員には該当しません。

一方、法人税法の役員の定義には、取締役等とともに執行役も役員とされています。

この「執行役」とは、会社法に規定されている制度です。

株式会社は、定款の定めによって、委員会を置くことができ、委員会設置会社を選択した場合には、取締役会とは別に指名委員会、監査委員会及び報酬委員会並びに執行役を置くこととされています。

つまり執行役は、委員会設置会社における会社法上の機関です。

この場合における執行役は、取締役会決議により委任を受けた事項の決定及び会社の業務を執行し、取締役は執行役の職務執行を監督することとされています。

執行役には業務執行の決定権限があります。

執行役は、会社法上の機関であり、業務執行の決定権限も与えられており、取締役に近い義務と責任を負わされていることから、法人税法上も取締役と同じ役員になるわけです。

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