トップ>節税の教科書>社長が役員賞与の受取を辞退した場合

社長が役員賞与の受取を辞退した場合 給料と退職金などによる節税


【目次】

1.社長が役員賞与の受取を辞退した場合

同族会社では会社の業績が思わしくないので、社長が未払いとなっていた役貝賞与の受け取りを辞退することもあります。

役員給与を損金とするためには、定期同額給与か、事前確定届出給与である必要があります。

役員賞与を支給する場合は、事前確定届出給与の届出を出しているはずですこのうちの賞与分の受け取りを辞退するということは、事前確定届出給与ではなくなります。

業績悪化が理由であっても、減額すると届出額と支給額が違うので、全額を損金とすることができなくなります。

経営の悪化にともなう賞与の受け取り辞退については、経営が著しく悪化したときには、届出額を変更することができます。著しく悪化したときとは次のとおりです

  • 整理開始命令が出たとき
  • 破産宣告がなされたとき
  • 民事再生手続き開始の決定があったとき
  • 整理回収命令が出たとき
  • 上記4点以外で、会社の整理、事業の債権および業績不振のため、必要経費の額に算入されない未払賞与の一部または全部を、取締役会の決議に基づいて支払わないとした場合で、かつ支払わない金額について一定の基準があるとき

この場合につぃては、業懲化により支給額を変更することを株主総会や取締役会で決議し、その日から1力月を経過する日までに変更届出書を提出します。

2.役員賞与受け取り辞退の要件

売上げの落ち込みや手形の回収ができないなどによる業績不振は、先に述べた業績の著しい悪化には該当しません。

業績不振が適用される範囲は、債務超過に陥っているというような、倒産の一歩手前のような状況をいいます。

その状態にまで至らないと、事前確定届出給与の変更は認められないということです。

こうした要件に該当しないのに、社長が賞与の受け取りを辞退すると、事前確定届出給与にあたらなくなるので、社長の給与は全額損金にできなくなります。

なお、支払いが確定している役員賞与の受け取りを辞退するということは、会社の債務を免除するということです。

一般的に、会社が資産の贈与や債務免除を受けたときは、会社の所得の計算をするときに利益として計上することになっています。

社長が支払いを受けるべき賞与を辞退すると、会社は贈与を受けたものとして、受贈益となり、会社の所得に加算されます。

これによって会社に課税所得が生じれば、課税の対象となります。

3.役員賞与や給与の辞退はすべきではない

定期同額給与の場合は、事業年度の途中から給与減額されることになりますが、「減額された月額給与×12力月分」しか損金算入できません。

「減額する前の給与と減額給与の差額×支給済の月数分」は損金算入できないことになります。

また、給与や賞与を辞退しても、社長には所得税がかかります。

業績が不振だからと役員賞与や給与の辞退をすると、会社では損金算入できない金額が出てきますし、社長には所得税が発生するなど、節税を考えるとあまりいい方法とはいえません。

給与の辞退よりも、利息分を損金にできる「貸し付け」のほうがいいでしょう。

【関連するこちらのページもどうぞ。】

【業務に関するご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。】

03-6454-4223
電話受付時間 (日祝日は除く)
平日 9:00~21:00
土曜日9:00~18:30

info@suztax.com
24時間受付中