事前確定届出給与は損金算入 給料と退職金などによる節税
【目次】
1.事前確定届出給与とは
これまでは、役員に賞与を払うと損金にはできませんでしたわずかに、使用人兼務役員に対してのみ、使用人部分に対して支給した賞与が損金にできるだけでした。
役員については、毎月の給与が100万円で、 7月と姶河にそれぞれ200万円四貧与を支払っていたとすると、毎月の給与は損金にできましたが、臨時の給与にあたる賞与の400万円は損金にできませんでした。
それが税制の改正によって、役員に賞与を支給しても、損金にできるようになりました。
ただし、賞与の支給時期と金額をあらかじめ税務署に届け出る必要があります。
それが「事前確定届出給与」です。
事前確定届出給与とするには、 1年間に支給する給与と賞与の領それに支給の時期を具体的に決めて、税務署に備え付けてある「事前確定届出給与に関する届出書」に記載し、税務署長あてに提出します。
2.届出額と支給額は同じでなければならない
事前確定届出給与は、届け出た賞与の支給額を、届け出た日に支給することによって、全額を損金にするというものです。
社長の賞与を7月に200万円、12月に200万円を支給するとして届け出た会社があるとしましょう。
このときに、 7月は予算を下回る売上げしかなかったので、社長の賞与を150万円とし、12月は予算を上回る売上げを上げたことから250万円の賞与を支給したとするとどうなるのでしょうか。
トータルの支給額は届出額と同じであっても、支給額は違っていますから、事前確定届出給与には該当しないことになります。
事前確定届出給与にあたらないとされると、 7月と12月の賞与の全額が損金算入できないことになります。
事前確定届出給与では、支給される賞与は事前に確定している必要があります。
ところが、届出額と実際の支給額が違うということは、事前に支給額が確定していたのではないということになります。
3.分割支給する場合は、税務署に届け出る
事前届出書は「株主総会等の決議をした日から1力月を経過する日」までに、役員1人ひとりの支給額を記載して提出します。
たとえば、 3月期決算(事業年度が4月1日から翌年3月釘日まで)の会社で、定時株主総会を5月30日に行う場合、定時株主総会から1力月を経過する日である6月30日までに、提出する必要があるということです。
気をつけたいことがあります。 5月期決算(事業年度が6月1日から翌年5月31日まで)の会社もあるでしょう。
その会社が定時株主総会を7月30日に行うとして、従業員には賞与を7月10日に支給していたとします。
株主総会で賞与の支給額を決めたら、 7月10日にさかのぼって支給できるかというと、それはできません。
役員の職務の執行は7月30日以降となるからで、それにもとづいて給与(賞与を含む)が支給されるのは、翌月の8月以降になります。
なお、非常勤の取締役や監査役などの場合、報酬を毎月ではなく、年に2回という形で支払うことがあります。
これは定期同額給与にあたらないので、事前届出をしないと、役員給与を損金算入できなくなります。
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