会社の債務を保証して返済できない場合 給料と退職金などによる節税
【目次】
1.会社の債務を保証して返済できない場合
会社が金融機関から融資を受けようとすると、たいていの場合は社長による債務保証を求められます。
これに応じないと、会社が金融機関などから借金をすることはできないといっていいでしょう。
会社が金融機関などから借り入れをするときに、社長が債務保証をしていたが、会社が倒産したために借入金が返済できないことになると、社長は金融機関から保証債務の履行を求められます。
保証債務を履行するために、社長は自分の預貯金をかき集めたり、土地・建物などの不動産を売却した代金をあてたりすることになります。
このような場合、税務上どのような問題があるでしょうか。
会社が借入金などの債務を放棄してもらうと、原則として、受贈益として課税の対象になります。
ただし、会社が経営危機にあるなどの要件を満たしたときは、課税されません。
債務者(会社)が返済しなければならない金額を、債務者以外の人(社長など)が債務者(会社)に代わって債権者(立融機関など)に返済したとすると、肩代わり返済をした社長などが債務者(会社)に対して返済を請求することができます。
この権利のことを「求償権」といいます。
保証債務の履行のために社長が個人の財産を譲渡するときは、会社が倒産するなど、求償権を行使することができないような状況にあるといえます。
求償権の行使ができなくなった部分の金額については、確定申告をすることで、会社には譲渡がなかったものとみなされます。
2.不動産の売却益で特例を受けることができる
保証債務を履行するために、社長が土地建物を売却して、返済のための資金を捻出することがあります。
土地の譲渡においては、譲渡益が出るとその分に対して税金がかかりますが、保証債務を履行するために土地建物を売却したときは、所得がなかったものとされる特例があります。
ただ、この特例を受けるには、いくつかの要件があります。
まず、保証債務の履行にあたるのは、
- 保証人、連帯保証人として債務を弁済したとき
- 連帯債務者としてほかの連帯債務者の債務を弁済したとき
- 身元保証人として債務を弁済したとき
- 他人の債務を担保するために抵当権などを設定した人が、その債務を弁済したり、抵当権を実行されたとき
となります。
特例を受けるには、次の3つの要件すべてに当てはまる必要があります。
- 本来の債務者がすでに債務を弁済できない状態のときに債務保証したのではないこと
- 保証債務を履行するために士地建物を売却していること
- 履行した債務の全額または一部の金額を本来の債務者から回収できなくなったこと(求償権の全部または一部を行使できなくなったとき
なお、土地建物を売却して所得がなかったものとできるのは、譲渡益全額というわけではありません。
- 肩代わりした債務のうちの回収できなくなった金額
- 債務を履行した人のその年の総所得金額等の合計額
- 売却した土地建物の譲渡益の額
の3つのうち、最も低い金額です。
譲渡益が肩代わりした債務のうちの回収できなくなった金額、債務を履行した人のその年の総所得金額等の合計額よりも金額が大きかったとすると、課税される部分が出てきます。
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