同族会社のみなし役員とは 同族会社の節税
【目次】
1.みなし役員とは
使用人(従業員)の給与や賞与、退職金は損金として認められます。
しかし、役員の場合は役員給与と退職金は損金扱い(ただし、条件があります。)になりますが、役員賞与分はあらかじめ税務署に届出を出さないと損金としては認められません(これを事前確定届出給与といいます)。
会社にとって、使用人か役員かによつて税負担が違ってくるわけです。
同族会社の場合、社長の奥さんが経理を担当し、息子が仕入れを担当するなど、配偶者や子どもが使用人として働いていることがよくあるのです。
使用人ならば、給与はもちろん、賞与も損金扱いになるので、役員にするよりも節税できるからです。
ところが、会社法上では役員ではない使用人であっても、税法上では役員とみなされることがあります。
それが「みなし役員」です。
みなし役員は同族会社にだけ適用されるものではありませんが、同族会社の場合は適用範囲はかなり広くなっています。
同族会社では、会社法上の役員でなくてもみなし役員とされるのは、次の4つの条件にすべて当てはまる場合です。
①同族株主グループに属している
②その使用人の属する株主グループの持株割合が10%を超えている
③その使用人の持株割合が5%を超えている
④会社の経営に従事している
この4つをすべて満たせばみなし役員となるわけです。
しかし、1つでもこの条件を満たしてなければみなし役員とはなりません。
たとえば、父親が50%超の株を持ち、自分もまた5%を超える株を持っているとします。
そうすると、
①同族株主グループに属している
②その使用人の属する株主グループの持株割合が10%を超えている
③その使用人の持株割合が5%を超えている
という条件は満たしますが、経営に従事していないとすると、
④会社の経営に従事している
という条件は満たさないのでみなし役員とはされないことになります。
会社の経営に従事しているかどうかは、会社の経営方針の決定にかかわっているか、業務の執行にあたって全部あるは一部の権限を与えられて実行しているかどうかで判断します。
2.会社の経営に従事しているかどうかは、会社の経営方針の決定にかかわっているかの判断基準
主に下記のような事項に関わっていると、経営に従事していると判断されます。
- 取締役会に出席して議案の決定に参加しているかどうか
- 会社が取り交わす重要な契約に関する決定権を持っているかどうか
- 商品や原材料などの仕入先の選定
- 仕入数量、価格
- 販売価額
- 人事面で採用や給与支給の決定権がある場合
- 従業員の採用や異動
- 給料や賞与、退職金の支給
- さまざまな取引面での決定権がある
- 設備投資
- 資金の調達・返済
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