特定同族会社の留保金課税とは 同族会社の節税
【目次】
1.留保金課税とは
会社が配当をすると、その配当金に対しては所得税が課税されます。
配当金にかかる税金は、20%の源泉徴収のうえ、総合課税が原則とされています。
ただし、源泉徴収のみで、確定申告を行わないことも選択できます。
所得税はご承知の通り所得に応じて高くなる累進税率が採用されています。しかも地方税を含めると最大50%程度の税負担になります。それに対して会社であれば、法人税だけではなく、住民税や事業税を含めても中小法人の場合25%程度(実効税率)の税負担となり、個人と法人の税負担は大きくなっています。
したがって同族会社の出資者にしてみれば、所得税を節税する意味でも配当を控え、利益を会社にプールしたほうがよいという判断になりますが、税の公平という見地からは好ましくありません。
同族会社ではない会社(非同族会社)は利益を配当に回すので、配当にかかる所得税の負担があります。
ところが、同族会社では利益を会社にプールして課税されないとなると税負担に不公平が生じることになります。
そこで法人税法でも、こうした同族会社に対しては、配当にかかる所得税逃れを牽制する目的で次のような措置をとっています。
すなわち一定の同族会社が利益を留保した場合、その留保金に対しては一定率を掛けた額が課税される扱いになっています。
これを特定同族会社の留保金課税と呼んでいます。
これまではすべての同族会社に留保金課税がなされていたのですが、平成18年度の税制改正によって、ーつの株主グループで50%超の持株割合の同族会社(特定同族会社)と条件が緩和されました。
したがって、ーつのグループで50%以下の持株割合であれば、同族会社であっても留保金課税はされないことになります。
留保金課税は、資本金1億円以下の法人については、特定同族会社の留保金課税は適用されません。ただし平成22年度税制改正により大会社の100%子会社である中小法人を除くこととなり、大会社の100%子会社である中小法人は留保金課税の適用を受けてしまいます。
2.留保金課税の計算方法
留保金額 = 特定同族会社の所得等の金額のうち留保した金額 – その事業年度の法人税額+道府県民税、市町村民税
留保金にかかる税金 = (留保金額 – 控除額) × 税率
※留保金控除額
①期末資本金 × 25%一期末利益積立金額
②所得等の金額 × 50% (注1)
③年2,000万円
④総資産 × 30%一自己資本の額(注2)
上記4つのうちでもっとも多い金額が留保金控除額となります。
注1)大法人は40%
注2)自己資本には同族関係者からの借入金を含みます
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