建設工事等の収益計上基準 売上と費用関係の節税
【目次】
1.請負による収益の計上時期はいつか
当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してこれに報酬を与えることを約することによってその効力を生じる契約を請負契約といいます。
法律上、請負者の報酬請求権は、仕事の目的物の引渡しを要する請負にあってはその引渡しの時、物の引渡しを要しない請負にあってはその仕事の完了の時に発生します。
税務上、請負による収益の計上時期は、法律上の報酬請求権が発生する時に合わせて定められています。
すなわち、請負による収益の額は、別に定めるものを除き、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の全部を完了した日の属する事業年度の益金の額に算入します。
物の引渡しを要する請負の典型的なものとして、建設、造船等がわかりやすいですが、これらは「その目的の全部を完成して相手方に引き渡した日」に収益を計上することになり、これを
「完成基凖」
といいます。
あるいは「完成引渡基凖」又は「全部完成基凖」ということもあります。
また、企業会計においても同じ考え方が採用されています
2.建設工事等が完成して引き渡した日の判定はどう考えるか
建設、造船等の収益計上は、「その目的の全部を完成して相手方に引き渡した日」とされますが、その日についてはいくつかの考え方があります。
そこで、作業を完了した日、相手方の受入場所へ搬入した日、相手方が検収をした日、相手方において使用収益ができることとなった日等で、その建設工事等の種類及び性質、契約の内容等に応じその引渡しの日として合理的であると認められる日のうちから、継続適用を条件に、法人が選択できることになっています。
つまり、建設工事等の収益計上を、次のいずれかの基準から選択して適用することができます。
- 作業結了基準
作業の全部を結了した日に引渡しがあったとする方法
- 受入場所搬入基準
相手方の受人場所へ搬入した日に引渡しがあったとする方法
- 検収完了基準
相手方が検収を完了した日に引渡しがあったとする方法
- 管理権移転基準
相手方において使用収益ができるようになった日に引渡しがあったとする方法
このうち管理権移転基準が一番遅く収益を計上する方法です。相手方が使用できるようになってはじめて収益を計上する方法だからです。
ですから管理権移転基準を選択すれば、収益を最も遅く計上することができるため税務上のメリットが生じることになります。
なお、上記の4つの基凖のどれを選択するかについての届出は必要とされていませんので、検討してみてください。
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